夏休みやお盆の帰省シーズンは、いじめや家出、浮気の相談が増える時期です。そんな中、近年目立って増えているのが、逃げた妻子を探し出そうとするDV加害者からの依頼だといいます。彼らは被害者を装い、狡猾に手続きを利用して探偵を欺こうとします。メルマガ『阿部泰尚メルマガ「伝説の探偵」』では、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、実際に体験したDV加害者の巧妙な手口と狂気に満ちた執着を明かしつつ、被害に遭った人が安全に逃げるための具体的な手続きと相談先を伝えます。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです
DVから正しく逃げる
夏休みという大型休暇の前後は、いじめの相談の他に家出や浮気の相談が増える。
いじめについては、こどもが夏休みの期間に入り、掲示物を持って帰ってきたことで異変に気が付いた親からや、親子で過ごす時間が増えたことで異変に気が付いたというケースが多く、家出は登校がないゆえにここぞというタイミングが到来したのだろうと思われるケース、浮気はお盆休みの帰省など、家族が定期的に行動を共にする期間に、仕事を理由に単独行動を取ると宣言して怪しまれるケースが多い。
どれも、理由を聞けば、なるほどと思うことだろう。
増えるDV加害側からの相談
一方、ここのところ増えているのは、DV(ドメスティックバイオレンス)加害側からの相談だ。これも大型連休に増えるという特徴があるが、被害側がこどもと一緒に逃げた場合が多く、加害側は探偵に依頼して見つけ出そうとするわけだ。
当然、私も弊社も関連探偵社もこうした依頼は受けない。むしろ通報するという方針だ。
相談も受けるなよと思う人もいるだろうが、一方的に電話が掛かってくるわけで、予め、どういう属性の人間で、どういう相談かを知る術がないわけだから、断りようがないのだ。ホームページ注意事項に示しても、まずは読まない率100%だから、ほぼ意味がない。
結果、私は無駄な時間とストレスをためるわけだが、DV男の中には、巧妙に自らの悪行を隠し、恰も被害者のように装い、依頼を受けさせようとする輩が大半なのだ。
「探さないで」の手紙は自作自演だった
一例を紹介しよう。
コロナ禍前、妻子を探してほしいという相談が入った。
置手紙には「探さないでください。」の一文のみ、洋服などはすべて妻の実家に発送到着済みで、警察への捜索願も出ていた。もともといた部屋などは情報が多いことがよくあり、DV加害者は部屋を見せたがらない傾向が強いから、部屋の調査を依頼人にお願いしたところ、快諾したため、条件面から見て、調査を引き受けてよいケースだと判断した。
調査を実施したところ、調査中に、調査対象者の実家で不審な動きがあった。
もともと、調査対象者側の実家は一応の協力をしてくれることになっていた。そのため、私が訪問し、色々と特徴や情報、過去の友人関係などを聴取したが、その間、特定のエリアに近付こうとすると、特に理由もなく声をかけられたり、引き戻されるなどした。
結果的にこうした行動から、何らか隠していると考え調査をしたところ、調査対象者の発見に至ったが、発見した調査対象者は、漫画のような目の周りのあざがあり、歯が数本かけている状態であったため、家庭内暴力が疑われると感じ、調査を中断して事情を聴くことにした。
事情を聴くと、日常的な暴力や要求を受けて逃げてきたと申告があり、その場で調査は中止となり、調査報告は契約通りしないことで決定した。
さらに、「探さないでください。」という手紙は書いておらず、実家に洋服なども送っていないことが判明した。
警察の捜索願も、結局は被害者側が何の相談も手続きも打っていなかったため、自然に発覚することはまずはないから、通常の業務として受けただけの事であった。
元依頼人は、こうした手続きなどもよく理解しており、狡猾に使っていたわけだ。
これらを元依頼人に問い質したところ、悪気もない様子で認めた。しかし一歩も引かず、料金の倍払うから居場所を教えてくださいというお願いから始まり、これを断ると、契約書なんて知ったこっちゃない、消費者センターに訴えるぞ、裁判してやるぞという脅しに変わり、これも通じないと思うと、次は、事務所が手薄な時間を狙い、自称友人らを引き連れて押し込みをしてくるという事件にまで至った。
幸い、事務所には、私が仮眠していたことや細身で身体が小さいけれど実はボクシング経験者のスタッフがその日は居たことで、撃退するに至ったが、自称友人というのを引き連れて事務所に押し入ってきた元依頼者の顔は酷く歪んでいた。
この件は、各手続きをしっかりと取ってもらい、地元の警察署に報告し、元依頼人の親などにも事態を知ってもらうなどして、問題解消となったが、「もしも」を考えればゾッとする。
これ以外でも、私は超モラハラのDV老人から軍刀を向けられて脅されるなどの被害経験をしているが、彼らの暴力性が狂気じみていることは身をもって体験している。
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