過去の人間関係や、誰かに言ってしまった言葉、果たせなかった約束など、心のどこかに引っかかっていることは誰にでもあるものです。時間が経てば自然に忘れられると思っていても、実は無意識のうちに心の負担となり、行動にブレーキをかけていることがあります。ある70代の経営者が実践していたのは、過去にわだかまりを残した人たちに自ら連絡を取ることでした。メルマガ『菊原智明の【稼げる人、売れる人に変わる知恵】』の著者であり、経営コンサルタントで関東学園大学で教鞭も執る菊原さんが、このエピソードをもとに、過去のわだかまりを解消することが心や仕事にどのような変化をもたらすのか、そして「いつか」と先延ばしにしないことの大切さについて考えます。
過去のわだかまりを一つ消すだけで人生が好転する
数年前から、私はよく「一人ゴルフ」をするようになった。
一人ゴルフとは、ネットで申し込み、「知らない人と一緒にラウンドする」というシステム。
最初は正直「知らない人といきなりゴルフなんてできるのか」と不安もあった。
しかし、やってみると、これが面白い。
参加している人たちは、いい人ばかりだった。
そもそも平日にゴルフをしている人は、「時間的にも精神的にも余裕がある」といった人が多い。
そういった方々との出会いから、学ぶことは多い。
ある一人ゴルフでのこと。
その日の同伴者の中に、70代のAさんがいた。
穏やかで落ち着いた雰囲気の方だ。話し方も物腰も、どこか余裕がある。
ラウンドの合間に、これまでの人生や経営について話を聞かせてくれた。
「本当はもっと早く引退しようと思っていたんだけどね。なんだかんだで、結局70歳まで社長を続けてしまったよ」
笑いながらそう言っていた。
今は会社を後進に譲り、一線を退いたAさん。
現在、熱心に取り組んでいることが二つあるという。
一つはゴルフ。
週に3~4ラウンドしている。かなりタフだ。
そしてもう一つが、「過去にわだかまりがあった人に、自ら連絡を取って会いに行く」という活動だった。
取引先や元社員だけではない。学生時代の友人や昔の知人にまでさかのぼるという。
私は思わず「なぜ、そんなことをしているのですか?」と聞いてしまった。
するとAさんは、穏やかな表情でこう話してくれた。
Aさん「相手を傷つけたりしてしまったことがあった。ずっと胸のどこかに引っかかっていてね」
私「確かに、そういうのってありますね」
Aさん「直接会って話をすると、相手はまったく気にしていなかったり、こちらだけが気にしていたということも多いんだよ」
私「そうなんですか」
Aさん「まあ、いろいろな人がいたけど、長年胸につかえていたものがスッとしたね」
私「スッキリしそうですね」
そしてAさんは、少し寂しそうな表情になってこう続けた。
「中には連絡がつかない人や、すでに亡くなっていた人もいてね。“なんでもっと早く会いに行かなかったんだろう”と後悔しているよ」
この言葉が、私の胸に深く突き刺さった。そして決して他人事ではない、と感じた。
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