50名が告発!米軍で「IS」情報操作疑惑が発覚

 

米国のスチュアート・ジョーンズ駐イラク大使は1月22日、アル・アラビーヤ・テレビに対し、昨年8月以後、米軍などが「イスラム国」戦闘員6000人以上を殺害したと述べ、さらにCNNは、「これは空爆の戦果を米中央軍が計算したもので、米情報機関によるとイラクとシリアの『イスラム国』戦闘員は9000‐1万8000人」と報道した。

これが事実なら、この戦果と残存兵力の数字を比べると、「イスラム国」は5か月間に兵力25‐40パーセントを空爆で失ったことになる。同時に「イスラム国」が6000人の損耗を補充し、兵力が減少しなかったとしても、その間に実施した、シリア北部のトルコ国境に接するクルド人の拠点コバニ市に対する包囲戦のような大規模な作戦を遂行できたとは考えにくい

また、「イスラム国」はシリアで200万人以上イラクで400万人以上の住民を支配している。「イスラム国」が一定の住民の支持を得ているとしても、住民に対する兵力の比率は、2001年以後のアフガニスタンやイラクにおける多国籍軍や現地国軍の対反乱戦の成功例と同等の、約60人に1人程度と考えるのが妥当だ。それに従って推計するとシリアとイラクの「イスラム国」は、米国側の楽観的推計を大きく上回る合計10万人以上の兵力を有していると考えなければならない。

オバマ政権の初期には、国防総省本省にも国家安全保障会議(NSC)にも、アフガニスタンやイラクで対反乱戦を経験しており、このような検算作業を直ちに実行できる人材が少なくなかったのだが、昨年までの間にこれらの人材が転出したか、なんらかの原因で活用されなくなっているようだ。

(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)

image by: Orlok / Shutterstock.com

 

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著者/小川和久
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。
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