住んでみたい。子育て世代がしあわせになる築20年の団地とは?

shutterstock_199192166 copy
 

建物の老朽化、高齢者の孤独死など、ネガティブなイメージばかりの「団地」ですが、そんなことはありません! メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者で、数々のマンションを見てきた廣田信子さんを感動させた団地とは一体どんなところなのでしょうか? そこには住む人をほっこりさせてくれる工夫がたくさんありました。

人にやさしいマンションは子育て世代を引きつける

こんにちは!廣田信子です。

私が大好きな団地があります。

中の人にはもちろん、外の人間にも本当にやさしいんです。

居心地がいいので、よくおじゃましてます (笑)。

管理棟は管理事務室と会議室・応接室・和室がオープンに並んでいて、印刷機やコピー機も自由に使えるようになっています。

住民管理組合の役員さんも自治会の役員さんもここに顔を出す機会が多くて、自然にコミュニケーションが進みます。

よく気が利く管理員さんも住民と一体のようです。

やはり、みんなが使う集会室的なスペースは管理事務室と隣り合っていてオープンな方がいいですよね。

子育てサークルの方々が和室で子供を遊ばせているその隣の応接室で、私たちが理事さんに話を伺っている。

理事さんが若いママさんや子供たちに、やあ、なんて声掛けしながら…

そのうち、相談があるという住民の方がひょっこり応接室に顔を出します。

そうすると、隣の会議室で1人の理事さんが話を聞きます。

理事さんがひと声かけると、管理員さんがいろいろな資料を持ってきてくれます。

資料はきちんと整理されていて、何を聞いてもすぐ資料が出てきます。

で、「外部の人には見せられません」なんて野暮なことは言わずに、なんでも教えてくれます

そして、冷蔵庫の中から、飲み物を出して「どうぞ」と持ってきてくれます。

しかも、好きなものを選べるようにいろいろな種類の飲み物を。

管理費から購入した飲み物、頂いていいのかしら…なんて私も野暮なことは言わずに、感謝していただきます。

ここでは、マンションを管理していく上で、いろいろな業者さんとお付き合いが生じますが、直接、業者さんと契約をしています。

その付き合いを大切にしていて、仕事を出してやっている…なんて雰囲気はみじんもなく、大切なパートナーとして接しています。

応接室も豊富な飲み物も、そのためのものです。

工事や配送の人のための駐車スペースもきちんと確保しています。

だから、みんながいい仕事をしてくれます。

誰も、自分たちを大事にしてくれるマンションの仕事で手を抜いたりしません。

団地の前の舗装は椰子の木が植えられ、建物側の植栽の緑も豊かです。

路面は透水レンガ張りで、歩きやすくものすごく趣があります。

夜間は間接照明がやさしく足元を照らしています。

と、さらりと書きましたが、私たちが普段歩道として当たり前に使っているスペースは実はマンションの敷地なんです。

それを、管理組合が道行く人のために管理してくれています。

敷地はオープンで、自由に出入りできます。

でもゴミ一つ落ちていませんし、自転車もきちんと整理されています。

建物にオートロックはなく、私たちも自由に上階に上がってステキな景色が見られます。

で、住民の方は、外から来ている私たちにも、みんなが感じよく、こんにちはと挨拶をしてくれます。

そして、入口の郵便受けのネームプレートには全員の名前が入っています。管理組合がつくって入れているのです。

セキュリティが売りで、オートロックで何重にもガードして、郵便受けのネームプレートは真っ白で、誰がどこに住んでいるのか、どこが空き室なのかもわからない最近のタワーマンションと対極にある団地ですが…

治安は最高にいいと思います。

やましい気持ちを持った人が入りにくいオーラが団地全体を包んでいますから。

管理組合とは別に自治会がありますが、別にルールなんて作らなくても、両方の役員を兼ねている人もいて、お祭などは自然に協力して行います。

自治会活動はゆるくたのしくをモットーにしていますので、人のつながりが広がりやすく、管理組合にとっても力強い存在です。

管理組合で行うAEDの講習会の参加者が少ないようだと聞くと、自治会が強いネットワークで人集めに協力します。

やさしいネットワークが育っている団地ですからどんどん若い子育て世代が入ってきますので、築20年を過ぎても、小学生以下が、65歳以上の人とほぼ同じという人口構成です。

輪番制の役員さんも、全員が現役世代、小さなお子さんがいる方も多いので、活気があります。

で、昔の役員さんたちともいろいろ交流があり、陰ながら、みんなで理事会を支えています(陰ながらですよ、笑)。

上の世代が人にやさしい風土を守り、そっと包み込んでくれている住環境は自然と子育て世代を引きつけます。

子供という自分の意志では制御できない、大切な存在を持ったとき、人は周りの人の優しさ敏感になりますから。

image by: Shutterstock

print
いま読まれてます

 

まんしょんオタクのマンションこぼれ話
マンションのことなら誰よりもよく知る廣田信子がマンション住まいの方、これからマンションに住みたいと思っている方、マンションに関わるお仕事をされている方など、マンションに関わるすべての人へ、マンションを取り巻く様々なストーリーをお届けします。
<<登録はこちら>>

  • 住んでみたい。子育て世代がしあわせになる築20年の団地とは?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け