AIIB裏切りの報酬。ついに始まったアメリカによる韓国イジメ

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なぜ韓国は躍進できたのか?

そう、円高で日本製品が「高かったから」。相対的ウォン安で、韓国製品は「安かった」。ところが、アベノミクスの金融緩和で、円安が進んだ。そして、世界市場で日本製品が安くなった。すると世界の人々は、「あまり値段が変わらないのなら、やっぱ日本製品の方がいいよね」と考えるので、韓国製品が売れなくなった。

で、韓国政府は、韓国製品をさらに安くし、競争力を保つために、こっそり為替介入していた。ウォンを安く保つことは、韓国企業にとって死活問題ということなのでしょう。しかし、アメリカはそんな韓国の事情を知り尽くしたうえで、ウォン安維持のための介入をやめるよう徹底した要求を行った。これ、言葉は礼儀正しいですが、言い換えれば、「韓国経済、このまま破滅しろや!」ということでしょう?

・・・・ていうか、アメリカは、すべての国にそうなのでは?

韓国に対して、特に厳しい証拠はこちら。

日本に対しては量的緩和の結果として円安が進んだことに言及したものの、批判的なニュアンスはなく、消費増税など緊縮財政策を批判し、景気拡大を求めた。同様に量的緩和を行ってユーロ安が進んだ欧州への批判もなかった。(同上)

日本と欧州には優しく、韓国にだけ厳しい

韓国経済新聞は社説で「安保問題である高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備問題はともかくとしても、韓国がAIIB加入を宣言した最近の動きと全く関係がないとはみることができない」と米国の政治的な意図まで勝手に読み取っている。(同上)

韓国は、「AIIBに入って中国側についたことへの復讐だ!」と見ていると。断言はできませんが、そんな可能性だってあるでしょう。「市場経済なんちゃら」といいますが、いまでも政治的意図は非常に重要です。たとえば、皆さん「アメリカはすべての独裁に反対だ」と思っていませんか? そういいながら、アメリカは絶対君主制のサウジアラビアと仲良しですね?

それに、アメリカは、イスラエルの核兵器を黙認しつつ、一方でイランの核開発に反対しています。アメリカが、核不拡散の原則に忠実であるのなら、「イスラエルの核保有に反対」「イランの核保有に反対」とするべきでしょう? しかし、政治的意図が優先され、「イスラエルはOKだけど、イランはダメ」となる。結局、世界はこんな風に動いているのです。

なぜアメリカを裏切った欧州と中国はいじめられないのか?

ここで賢明な読者さんから疑問がでることでしょう。韓国がAIIB問題が原因でいじめられている可能性があるのはわかりました。でも、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、ルクセンブルグなど欧州諸国も裏切りましたよね? なぜ韓国は、真っ先にいじめられているのでしょうか?それに、AIIBをつくった中国がいじめられないのはなぜ?

まず欧州諸国について。

アメリカは、欧州と対ロシア制裁で協力関係にある。だから、欧州をいじめて、ロシア側に寝返られたら困るのでしょう。

AIIBをつくってアメリカの覇権に挑む中国。こちらは韓国と違って世界2位の大国。ですから、「トータルな戦略構築」が求められる。韓国のように「米財務省の意向で崩壊させることができる」国とは違うということです。

しかし、対中情報戦の強化はすでにはじまっているように見えます。

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『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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