世界はチャイナマネーにひれ伏すのか?米中覇権争いは歴史的分岐点に

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世界の2大大国といえば、90年代初頭までは「ロシアとアメリカ」でしたが、いまは誰もが「中国とアメリカ」と答えるのではないでしょうか。中国は2015年の「AIIB事件」で多くの親米国家を引き入れることに成功し、世界に張り巡らせた網をさらに強固にしています。2016年、中国は世界の覇権国家となるため、アメリカや日本、欧州などに対してどのような外交戦略を繰り広げていくのかでしょうか。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんが詳しく分析しています。

2016年、世界はどうなる?~中国はどうする?

昨日は、「2016年アメリカはどう動くか?」という話をしました。ざっくりいうと、

・ウクライナ問題を、実質終わらせ
・IS問題から距離をおき
・中国との戦いに集中するであろう

という話でした。まだ読んでない方は、まずこちらからご一読ください。

世界に再び吹き荒れるナショナリズム。斜陽の米国はどこへ行く?

昨日も書きましたが、

・2次大戦終結後~1991年=冷戦時代、米ソ二極時代
・1992~2008年=アメリカ一極時代
・2008年~米中二極時代

昨日は、アメリカの話をしました。今日は、アメリカと覇権を争う中国の動きについて触れましょう。

中国のこれまで

簡単に中国の過去を振り返っておきます。

1949年に建国された中華人民共和国。なかなか発展できませんでしたが、1970年代はじめに転機が訪れます。アメリカと組むことに成功したのです。アメリカが中国と組んだ理由は、「ソ連に対抗するため」。中国は、日本との和解にも成功しました。

毛沢東が死に、賢いリアリスト・トウ小平の時代がやってきた。70年代末から中国は、日米からありとあらゆるものをもらい、経済を大発展させることに成功します。

80年代末から90年代はじめにかけて、米中関係に危機が訪れます。1つは、89年の「天安門事件」。もう1つは、91年12月の「ソ連崩壊」。

アメリカが中国とひっついていたのは、「ソ連と対抗するため」という名目でした。しかし、最大の敵ソ連が消滅した。当然アメリカで、「なんで共産党の独裁国家中国とつきあってるの?」という疑問が出てきた。この最大の危機を中国は、どう乗り切ったのか?

全国民必読の書「China2049(マイケル・ピルズベリー著)」に、面白い記述があります。中国は米政権内に親中派グループ」を築いていて、クリントンの政策を変えた」というのです。「親中派」の中心にいたのは、同著によると、

・ルービン(元ゴールドマンサックス会長、後に財務長官)
・サマーズ(ハーバード大学教授、後に財務長官)

でした。

ついに1993年末、中国が現在、「クリントン・クーデター」と呼ぶものが起きた。中国に同調する面々が大統領に反中姿勢の緩和を認めさせたのだ。クリントンがかつて約束したダライ・ラマとの新たな会談は実現しなかった。対中制裁は緩和され、後に解除された。(143p)

「親中派」がクリントンを説得した論拠は、「中国は人口13億人世界最大の市場です。中国とのビジネスは、わが国にとって、大儲けのチャンスです!」ということでしょう。そして、米中の比較的良好な関係は、「100年に1度の大不況」が起こった08年まで、いや、もっといえば2015年までつづいたのです。

ここまで、米中関係をまとめると、

・1970年代初め~1991年=「ソ連に対抗するため」という名目で良好な関係
・1993年~08年(あるいは15年)=「儲け」で良好な関係

となります。

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