もはや犯罪企業。三菱自動車「25年の詐欺」を新聞各紙が冷静に分析

 

経営トップの責任

【毎日】は1面トップに3面解説記事「クローズアップ」、4面には今日から始まる連載「果てなき闇~三菱自動車燃費不正~」の(上)。見出しを以下に。

  • 三菱自社長、引責辞任へ
  • 91年から違法測定
  • 経営陣関与 焦点に
  • 社内会議で目標課題設定
  • 国交省 再提出を指示
  • 自浄作用働かず
  • グループ内 突き放す声
  • 社長「会社の存続に関わる」

uttiiの眼

見出しを見る限り、《毎日》はとにかく経営者の責任に照準を合わせているように感じる。だからならのだろう、1面トップ記事には、沈痛な面持ちで俯く相川哲郎社長の顔を大きな写真で掲載。リードの書き出しも「三菱自動車の相川哲郎社長が、軽自動車の燃費不正問題の責任を取り、辞任する意向を固めたことが26日分かった」とした。つまり、社長辞任というニュースと捉えていることになる。

それでも、記事の中に入ると、相川社長が「今後の再発防止策を作ることが今の私の最大のミッション」と語り、進退の明言を避けたとの記述。ただし、リコール隠し以降も繰り返された不祥事に、「大株主の三菱グループからも『トップの責任は重い』との声が出ており、退任は不可避と判断した」とする。

こうした地合は3面の解説記事にも引き継がれ、見出しが「経営陣関与 焦点に」となっていることに表されている。

内容上重要なのは次の記述。

この偽装で焦点となるのは経営層など組織的な不正の有無だ。三菱自は20日の会見時点では、担当得部長が「自ら指示した」と認めたとしていたが、26日の記者会見では「指示した事実が確認できなかった」として前言を撤回した

とする。誰が指示したのか、その点は曖昧にされている。

また、ダイハツとスズキの熾烈な燃費競争を横目で見ながら、5回行われた燃費目標の引き上げは、「社長ら経営陣も出席する社内会議などで決まっており、組織的関与の疑いを濃くする会見内容になった」とも。再提出される報告書にはどう書き込まれるのか、いずれにせよ、これら「経営陣の関与」が厳しく問われることになるのは間違いない。《毎日》の見立て通りだと思う。

因みに、2つ目の不正である、全車種に及ぶ法令違反の燃費計測法採用に関しては、「背景が不透明」で、理論上、この不正によって燃費のかさ上げには直結しないという。それでも、正しい方法で実測した結果、燃費性能が落ちる車も出てくる見通しで、三菱自動車のブランドはさらに深手を負うことになると。

21日の朝刊でこの問題を最初に1面トップに持ってきたのが《毎日》だった。関連記事を含め、併せて4本の記事を掲載していたほど。「偽装の手口」に関する説明も《毎日》のものが一番分かりやすく、燃費走行の基になる「走行抵抗値」が各メーカーの「言い値」で構わないことを悪用し、燃費をよく見せかけていたという、卓抜な解説を提供していた。敬意を表して、きょうは《毎日》からとし
た所以(ゆえん)。

※ いつも順番が後であれば軽視しているというわけではないですが…(笑)。

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