なでしこジャパンの健闘及ばずアメリカの優勝で幕を閉じた女子ワールドカップ。その準決勝で日本相手にオウンゴールを献上してしまった自国選手を絶賛するイギリスチームの監督のFIFA公式動画が話題になっていますが、『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者・りばてぃさんは「このたった1本の動画には、計り知れない意味や意義がある」と言います。
たった1つの動画が救い守るもの
今まさに世間の注目を集めているサッカーの女子ワールドカップも、新しい仕組みによる「世論形成」や「社会現象」の一例と言えるだろう。
決勝戦はもちろんのこと、準決勝まででも、すごい騒ぎだ。
今回の準決勝が、米独日英という、先進国首脳会議みたいな顔合わせだったから、
余計に盛り上がったのかもしれない。
米独日英ならどの国も、世界で最もインターネットが発展し普及している国だから、試合前からネット上には、ものすごい量の関連情報や動画があふれ出ていた。
それらが世論形成に与える影響は大きく、アメリカでは、準決勝のドイツ戦のテレビ中継が、今大会最多の視聴者数を記録。
いや、今大会どころか、これまでアメリカで放送された女子サッカーのすべての試合の中で、史上3番目に多い視聴者数となったのだ(1位は前回大会決勝の日本戦、2位は99年大会決勝の中国戦)。
〔ご参考〕 Women’s World Cup: USA’s semifinal triumph over Germany another TV ratings bonanza
また、皆さんもよくご存知の通り、その翌日の日本対イギリス戦は、延長ロスタイム中のオウンゴールという劇的な結末だったこともあって、アメリカでも大きな話題になった。
それにしても、両チームともベストを尽くして戦った最後の最後に、オウンゴールとは、こんな悲劇、滅多にないだろう。
日本国内でも、対戦相手だった日本のサポーターですら、かわいそう過ぎて涙したという異例の報道があった。
〔ご参考〕 イングランド代表のバセットがオウンゴール 日本サポーターも涙
とにかく、インターネット動画配信が普及していない時代だったら、後日、そんな話題を耳にしても、
「そうなんだ、見過ごしたよ!!」
と悔やむだけだった。
それが今では、誰でも手軽にネット動画で、そうした決定的な場面を見れる。
誰かがYouTubeなどに勝手にアップロードした動画が山ほどあるのだ。
試合の動画だけじゃない。
代表チームの選手を招いたり、特集したテレビのスポーツ番組や、ドキュメンタリー番組ですら、YouTubeなどで検索かけたら、いくらでも見れる。
このことがもたらす影響は、尋常じゃない。
また、当然のことながら、FIFAも、YouTube上に専門のチャンネル(FIFA TV)を設けていて、試合のハイライト・シーンを編集してまとめた素晴らしい公式動画を公開している。
注目が高かったからなのか、今回の準決勝後には、米独戦、日英戦の2試合それぞれのハイライト動画に加え、2試合まとめた動画も登場。
もちろん、いつでも、どこからでも、無料で視聴できる。
〔ご参考〕
HIGHLIGHTS: USA v. Germany – FIFA Women’s World Cup 2015 ~米独戦
HIGHLIGHTS: Japan v. England – FIFA Women’s World Cup 2015 ~日英戦
ROUNDUP: Semi-finals at Women’s World Cup ~「準決勝」2試合まとめ
さらに、今回の準決勝後では、これまでなかった極めて異例の動画が、このFIFA TV上で公開された。