それは、日英戦の試合直後にあった英代表チームのマーク・サンプソン(Mark Sampson)監督による記者会見(Post-Match Press Conference)の動画だ。
しかも、その長さはなんと17分52秒!!
ノーカット版だ。
〔ご参考〕 ENGLAND Reactions – Japan v. England – Post-Match Press Conference
この会見で、サンプソン監督は最初から最後までずっと、オウンゴールを献上したローラ・バセット(Laura Bassett)選手や、その他の選手一同を、心から誇りに思うなどと絶賛しまくった。
自分が知るどのチームよりも限界を何度も超え、全力を出し尽くしたとか、このチームにバセット選手のオウンゴールを責める者は1人もいないとか、誰もが彼女を尊敬しているし、このチームのメンバーは、皆、一生の友人だ、そもそもバセット選手がいなければここまで来ることもなかったとか、彼女は英国に帰国後ヒーローとして迎えられるべきだ…などと、涙を堪え、熱く語り続けた。
「彼女は英雄だ」と力説する若い男性の監督ならではの熱さ。
まるで、
「そんな奴いたら俺がぶっとばす」
とか言いそうな雰囲気満々。
それだけイギリス国内では、過去に重要な国際試合でミスをしたスポーツ選手に対して、辛らつな批判や中傷が報じられることが多かったのかもしれない。
悪評高いタブロイド紙もあるし。
だからこそ、試合直後に、サンプソン監督はあんなにも熱く、それこそ命がけの剣幕で語ったのかも?
でも、もし、この世界にネット動画配信がなかったら?
サンプソン監督の会見の様子は、一部のマスコミ関係者にしか知られなかったかもしれない。
テレビ番組には「放送枠」があり、「時間の制約」があるため、17分52秒もの会見のすべての内容が放送されることはまずありえない。
良くてせいぜい一部の抜粋。
下手すると、サンプソン監督が伝えたかったメッセージではなく、
悲劇、仲間割れ、戦犯は…
みたいな感じのメッセージへと恣意的に編集され、ワイドショー番組などで、嘘か本当か分からないデタラメばかり取り上げられていたかもしれない。
実際、イギリスのタブロイド紙は、そうやって嘘か本当か分からない下衆な話題や悪質な報道で、販売部数を稼いできた。
FIFAが、素早くサンプソン監督の記者会見動画を公開したことによって、そんな悪質な報道を、未然に防ぎ、抑える効果があっただろう。
たった1つの動画が、1人の人間の人生を変えることになったのかもしれない。
いや、1人の人間じゃない。
イギリス代表チーム関係者や、その家族や友人、この試合を見ていたサポーター、将来、サッカー選手になる夢を追いかけている子ども達など等、大勢の人々の人生を、救い、守り、何かしらのかたちで変えることになっているのかもしれない。
そういう意味では、このたった1本の動画には、計り知れない意味や意義がある。
今はまだ、インターネット上での動画配信の歴史が浅く、それによって、世の中の世論形成や社会現象を作り出す仕組みが激変している真っ最中だ。
そのため、まだ誰も把握しきれていないけれど、後々、人類が振り返った時、今まさに起こっている変化(あるいは進歩)は、私たち人類にとって、とても重要なターニング・ポイントになっている可能性がある。
ひょっとすると、人類が初めて火を使いはじめたとか、電気を使いはじめた時などに、匹敵する、あるいはそれを上回るくらいの激変が、今まさに起こっているのかもしれない。
image by: YouTube
『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』 Vol.147より一部抜粋
著者/りばてぃ
ニューヨークの大学卒業後、現地で就職、独立。マーケティング会社ファウンダー。ニューヨーク在住。読んでハッピーになれるポジティブな情報や、その他ブログで書けないとっておきの情報満載のメルマガは読み応え抜群。
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