【いじめ】言い訳は通用しない。遂に裁判所が問題教師に賠償命令

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昨年も多くのいじめや教師が絡む学校での事件が明らかとなりましたが、そんな中にあって、ある2件の画期的な判決が下されました。司法が被害児童たちを守ろうとしている証拠でもあるこの判断は、今後、いじめに対する抑止力となってくれるのでしょうか。無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』で詳しく紹介されています。

いじめに関してはほとんど処分されていない教職員

昨年は、数々のいじめ事件が大きな社会問題として取り上げられた年でもありました。青森市の中2女子いじめ自殺、青森県東北町の中1いじめ自殺、横浜市での原発いじめ、国立大付属高校でのいじめ重大事態隠蔽事件、教師までが「菌」扱いしていた新潟市での原発いじめなど、次々といじめ事件が報道されました。

その中で先週は、いじめや学校事件に関する2件の画期的な判決が言い渡されました

12月22日に、さいたま地裁川越支部が、約1億4,800万円の賠償を川越市と同級生たちに命じました。これは、埼玉県川越市で2012年、いじめを受けていた当時市立中学2年の男子生徒が、同級生3人から暴行を受けて重体となり意識不明になっている事件です。

報道によると、川越市は、「いじめと認識していなかった」、「男子生徒や母親からいじめを受けたとの報告がなく、いじめを受けていたと認定することは不可能」などと反論していました。しかし、裁判所は、「スクールカウンセラーに相談していた」と指摘、さらに、「少年は、周囲の生徒からいじめによる被害を受けていた」と認定。「周囲の生徒に事情を聞くなどの調査をすれば容易に知り得た」として、「学校の教員は少年の生命や身体に重大な危険が生じることを予見できる可能性があったのに回避するための措置を取らなかった」と結論付けました。「いじめの相談がないからいじめに気付かない」との言い訳は通用しないという裁判所の強い意志が感じられます。

さらに同日、大分地裁では、教師の重過失を認定する判決がありました。大分県立高校の部活中に生徒が死亡した事件で、部活顧問の教師の重過失を認定し、「大分県は教師に対して損害賠償金の二分の一を請求するよう」に命ずる判決を言い渡したのです。

法律では、公立学校での事故やいじめ自殺事件等では、被害者側は、学校を設置した国や都道府県、市町村に対して訴訟すると定められており、直接、事件に関与した教員個人に責任追及することは認められていないのです(注1:国家賠償法1条)。そのため、「なぜ、あの教師がまだ教壇に立っているのか」、「なぜ個人的責任を問えないのか」という不満がくすぶり続けるのです。

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