疑惑の森友学園問題、新聞各紙がどのように報じたかを徹底比較

uttii20170228
 

衆院予算委でも喧々諤々の議論となっている、「瑞穂の國記念小學院」(森友学園)と安倍総理との関係。同法人への国有地の破格値での払い下げに端を発するこの「問題」はどこまで広がりを見せるのでしょうか。メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ』の著者でジャーナリストの内田誠さんが、この件についての新聞各紙の報じ方を詳しく分析しつつ、その行方を占っています。

森友学園への国有地払い下げとゴミの撤去にまつわる疑惑に揺れ動く安倍政権。各紙はこの問題をどう報じているか

【ラインナップ】

◆1面トップの見出しから……。

《朝日》…「原発避難 今春3.2万人解除」
《読売》…「中国 無許可で海底調査」
《毎日》…「正男氏殺害「北朝鮮テロ」」
《東京》…「テロ準備罪 「テロ」表記なし」

◆解説面の見出しから……。

《朝日》…「ハリウッド 分断に抵抗」
《読売》…「連合「100時間」抵抗強く」
《毎日》…「孤立深まる北朝鮮」
《東京》…「解明進まず 弾劾判断へ」(朴槿恵韓国大統領)

ハドル

1面と解説面には出てきていませんが、「森友学園」にまつわる問題が最大のテーマに浮上しつつある状況です。「ゴミの埋め戻し」という奇妙な方向性が出てきた今の段階でどのような情報が出ているか。通覧するつもりで取り上げたいと思います。今日のテーマは…、森友学園への国有地払い下げとゴミの撤去にまつわる疑惑に揺れ動く安倍政権各紙はこの問題をどう報じているか、です。

教育基本法違反

【朝日】は国会に関する3面の総合的な記事で森友学園の問題を課題の一つとし、4面で衆院での追及の模様を記し、39面社会面にも関連記事。見出しを並べてみる。

3面

  • 政権 守勢の後半国会
  • 国有地売却・PKO日報 課題山積

4面

  • 森友学園問題 衆院委で追及
  • 政府「適切な手続きだった」
  • 売却の経緯
  • 学園との関係
  • パネル持ち込み 自民と民進対立

39面

  • 「安倍首相がんばれ」園児宣誓
  • 野党「森友学園側、教育基本法に違反」
  • 首相「不適切」と答弁
  • 教育勅語 暗唱も

uttiiの眼

4面記事は、昨日の国会でのやりとりを簡単に紹介しており、野党が国有地売買を巡って国による便宜供与があったのではないかと疑っている点を4点、表にしている。1つは、ゴミ撤去費用8億1,900万円の減額査定を、第三者ではなく大阪航空局が実施した点前例のない措置だった。2つ目は、売却を前提とした「買い受け特約つき貸付契約」を学園側と結んだ点で、学校法人のケースは過去に1例しかない。3つ目はその契約による売買代金の支払いを分割にしたことで、これは前例がない。最後に、売買価格を当初、非公表としていたこと。これも原則からの明白な逸脱だった。もう、怪しい話がてんこ盛りといったところ。

学園と安倍氏との関係については、首相の妻、昭恵氏の小学校名誉校長就任についてなど追及の模様が記されている。

自民党は審議のテレビ中継も、民進が求めた3人の参考人招致(森友学園の籠池泰典理事長、売却交渉をしていた時期に財務省理財局長だった迫田英典国税庁長官、同じく近畿財務局長だった武内良樹財務省国際局長)も拒み続けている必死にもみ消そうとしているが、このまま拒否し続けられるとも思えず、どこまで耐えられるのか。内閣支持率が下がる前に応じた方がよいと思うのだが。

39面は森友学園が運営する幼稚園での教育の中身についての大きな記事。2015年秋の運動会の映像を入手したとして、その異様な光景について具体的に書いている。代表の園児4人による「選手宣誓」では、「日本を悪者として扱っている中国、韓国が心改め、歴史教科書でうそを教えないよう、お願いいたします。安倍首相がんばれ、安倍首相がんばれ。安保法制国会通過良かったです」と言わされている。この点は国会でも質問され、安倍氏も「『安倍総理がんばれ』とか、園児に言ってもらいたいということはさらさらないし、私は適切でないと思う」と答弁している。

焦点は、こうした「教育」が、憲法や、あるいは少なくとも教育基本法に違反することを政権が認めるか否かだろうが、その段になると、「行われている教育の詳細は承知していない」とか、「所管の大阪府が監督するもの」といった逃げ口上が目立つ。教育勅語には「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」という内容を含み、まさにその内容が軍国主義教育となり、内外の膨大な犠牲にもつながっている。因みに、《朝日》が言うように、戦後、教育勅語については、衆議院で「排除に関する決議」、参議院では「失効に関する決議」がなされている。

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