森友問題はまだ終わってない。財務省も青ざめた籠池氏の「録音データ」

 

しかし、四者会合翌日の2015年9月5日、安倍昭恵夫人が新設小学校の名誉校長に就任して以降、籠池氏は政府に対する働きかけを強めていった。すでにその年の5月29日に定期借地契約を結んでいたため、月額227万円の賃料が発生し、これが大きな負担になっていたと思われる。

同年10月26日、「内閣総理大臣夫人付、谷査恵子」宛に郵送した籠池氏の書面には「賃料を半額にしてほしい」という要望とともに、次のような意見が書かれている。

借地契約のあと、土壌汚染や埋蔵物(ガラなど)を撤去しており、本来国が契約前に撤去するか、撤去している間は賃借料が発生しないのが民民契約だが、国との契約だから従ってもらわねばならぬということで現在に至る。建物建築時から借料が発生するのが本来であるのにおかしいと思う。

本来は認められないはずの国有地の借地を特別に許されると、次には値引き交渉である。その材料は地下に埋まっている廃棄物だ。

2015年7月29日から12月15日にかけて行われた地下埋設物撤去工事は、12月19日の小学校建設工事に予定通り着手するために、とりあえず必要だったものだろう。その費用については早々に決着させたうえで、廃棄物を理由にさらなる条件緩和を求めていく腹が、籠池氏にもともとあったのではないか。

2016年3月11日に、森友学園が近畿財務局に対し、「校舎の杭打ち工事中に新たな地下埋設物が見つかった」と連絡、3月14日に近畿財務局、大阪航空局の担当者が工事関係者とともに現地確認を行った。だが、おそらく前年9月4日の段階で四者が認識していた廃棄物量の域を出なかっただろう。

想定されうる廃棄物を外部に搬出せず、用地内に埋め戻すことによって、1億3,176万円に撤去費を抑えたというのが財務局の認識だったはずだ。工事が進むにつれて、廃棄物が新たに出てくるのは当然であり、想定外の新たなゴミとは考えなかったはずである。

そのことは、録音データの公開後、民進党のヒアリングに応じた籠池氏と、玉木雄一郎衆院議員の以下のやりとりで確認できる。

玉木「財務省のこれまでの説明では3月11日に新しいゴミが発見されたので8億円の値引きをしたといっているが、前の年の9月4日にすでにゴミは把握していて、それを計算に入れないという判断をしてきたが、それは籠池さんにとって不当な提案だったと認識し、そういう思いもあって理財局に押しかけたということでよろしいのですか」

 

籠池「ああ、おっしゃる通りです」

つまり、籠池氏は金銭面でのさらなる負担減を求めるため、新たな瑕疵が見つかったように主張したということだ。

だからこそ、理財局に田村室長を訪ね、真っ先に「廃棄物の場内埋め戻し」の問題が来訪の主目的だとして、次のように言ったのだろう。

小学校の用地ですから、子どもが入るわけです、あそこに。…有害物質が入っている土を、そのまま埋め戻してほしい、と…いうようなことが発生したわけです。

児童の健康を考えるなら、場内埋め戻しではなく、場外に持ち出すべきだ。そのためにはコストがかかる。その分を値引きしなければならないのではないか。これが、籠池氏の言いたいことだったにちがいない。

田村室長にプレッシャーをかけるために、籠池夫妻は、名誉校長になった昭恵夫人の存在を利用した。

今回はね、やっぱりね、これは、あの方自身が愚弄されていると思ったから、僕来たんです。

昭恵夫人の方からも、確かここも聞いてもらったことがあると思いますけど。

田村室長は「もともとこの件の経緯がですね、貸し付けをするっていうことが特例だったものですから」と、すでに特別な便宜をはかっていることを暗にわからせようとするが、籠池夫妻は「それは感謝しています」と言うだけで、いっこうに納得しない。

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