池田教授が持論「主治医が自分のために最善を尽くす」は幻想だ

 

現代医学の進歩は著しく、怪我や多くの感染症は治るようになった。たとえば、少し前までは不治の病だと考えられていたAIDSも感染後・発病前ならば、特効薬のおかげで、感染していない人とほぼ同じ寿命を全うできるようになった。一方、転移しているがんや、老化に伴う多くの病気はほとんど治らないと言ってもいい。時に、必ず治るよと気休めを言う医師もいるが、患者がこの言葉をファンタジーだと思わずに、マジで信じると話はややこしくなる

本当に治ると信じていた患者は、治らないようだと思ったとたん医師を恨むようになりかねない。そこで、前述のように「治らないから治療費返せ」という話になったりする。それで、医師の方も用心して、100%治るとは言わなくなる。感染症やくも膜下出血のように治療効果が著しい病気は、100%治るとは言わなくとも、「最善を尽くしましょう」と自信をもって請け負う場合もあると思うが、転移したがんのように治療をしても治らない病気の場合は医師の対応は様々であろう。

近藤誠氏のように無治療を勧める医師も稀ながらいるだろうが、ほとんどのがん治療専門の医師は、「治療をしても治りません」と言うと、おまんまの食い上げになるので、治療をすれば、治る可能性もないわけではない、あるいは延命できるかもしれない、あるいは症状が多少緩和されるかもしれない、と言って、手術や抗がん剤の投与を勧めるだろう。無治療ではお金にならないので、高価な治療を勧めるわけだ。

一方、患者の方としては、無駄な治療や有害な治療をされたらかなわないので、ある程度の医学的な知識を持つことが必要となる。たとえば、血液のがん以外には、抗がん剤はほとんど効かないことを理解していれば、抗がん剤を拒否することができる。とりあえず、無治療で様子を見るという選択肢は悪くないと私は思うが、多くの人は何もしないで様子を見るという事に耐えられないのだ。

もちろん、有効だと判断したら、しばらくは、信頼した医師に任せれば治る、というファンタジーを信じる知恵と余裕も必要だろう。必ず好転するとは限らないが、それは仕方がない。ところが、ファンタジーと現実の区別がつかない人は、絶対に治してくれと医師に文句を言って、正しくないクレーマーになってしまう。(メルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』より一部抜粋)

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