自民圧勝の衆院総選挙、新聞各紙はどう伝えたか?

uttii20171023
 

枝野幸男氏率いる立憲民主党の「善戦」はあったものの、下馬評通り自公の圧勝となった第48回衆院総選挙。テレビ各局は大々的に特番を組み視聴率競争を繰り広げましたが、一夜明け新聞各紙はこの選挙をどのように伝えたのでしょうか。ジャーナリストの内田誠さんが自身のメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』で詳細に分析しています。

衆院総選挙の自民圧勝を新聞各紙はどう伝えたか

ラインナップ

◆1面トップの見出しから……。

《朝日》…「自公大勝 3分の2」
《読売》…「自民圧勝 与党310超」
《毎日》…「自民大勝280超す」
《東京》…「自公3分の2維持」

◆解説面の見出しから……。

《朝日》…「自民 揺るがず」「立憲 躍り出る」
《読売》…「『安倍1強』継続 小池旋風吹かず」
《毎日》…「敵失 安倍1強続く」
《東京》…「分裂野党に票分散」「疑問残し政権継続」

ハドル

各紙、選挙結果について、社説かそれに準ずるようなコラムを載せていますので、その中に見える各紙の問題意識を拾い上げるような感じで見ていきましょう。

なぜ自民党に入れたのか

【朝日】は18面社会面の記事で、自民党に投票した有権者に話を聞いている。まずは見出しから。

  • 安定求め 結局自民
  • 自民に投票した有権者
  • 景気を重視■せめて現状維持
  • 自らの所業 反省して

青森で2人に聞いている。リンゴ農家の女性(67歳)は、小選挙区、比例区ともに自民党。これまでも自民支持だった。「北朝鮮が挑発的な態度に出ている今は国難で、最も責任感を示しているのは自民党」という。また建設会社の男性社員(68歳)は、は民主党政権の記憶から、「いまの野党よりマシだ」と消去法的選択。

東京では女性2人。アベノミクスを評価するモデル(32歳)は仕事が増え、「景気回復の兆しは感じる」として。都議選では都民ファーストに入れたが、希望の党には入れる気が起こらなかった。小池氏には都知事として「都政と東京五輪に尽力してほしかった」と。もう1人の女性会社員(58歳)は、求めているのは変化ではなく現状維持だとして、野党の主張には「うんざりした」と話している。

自民党に投票しながら批判的な人もいる。福岡県の医師(57歳)は自民党に投票したが、「『森友・加計問題をごまかすための解散だ。与党が自民であることに異存はないが、自らの所業を反省して欲しい」と。安倍内閣の事績を「所業」という強い言葉で非難している。宮崎県の会社員男性(58歳)は「『反安倍』の人も国民には変わりない。支持者以外の人の声や疑問に答える姿勢を持つことは忘れないでほしい」と。その他、小選挙区で自民、比例で立憲民主に投じたのは、「憲法は守ってもらいたい。戦争に向かって行くようなことは絶対に避けてほしい」からだと語る19歳の学生も。

uttiiの眼

安倍氏の主張が投票行動にそのまま反映している人、希望の党に対する反感から自民党に入れた人、今回の解散・総選挙は「森友・加計問題」隠しだと認識していても、投票するなら自民党だと思っている人、現実的な課題と将来的な課題によって投票行動を使い分けている人。実に様々な動機様々な理由で実際の投票行動が決まってくるものだと思う。与党支持と言っても、かなり複雑な経路を通って結論に至っていること、野党はもちろんだが、与党にもそのことを十分自覚してもらう必要があるだろう。

print
いま読まれてます

  • 自民圧勝の衆院総選挙、新聞各紙はどう伝えたか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け