がん患者の3割超が解雇。がんと闘いながら「生活」する人の苦悩

がん すい臓がん
 

現代の日本では2人に1人が「がん」になると言われていますが、いまだに「がん患者が働く」ということに対する社会の理解は少ないようです。メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の著者で米国育ちで元ANA国際線CA、さらに元ニュースステーションお天気キャスターだった健康社会学者の河合薫さんが、交流のある50代女性のがんサバイバーが明かした厳しい現実をリアルに伝えています。

“がん”という苦しみ

2万1897人ーー。

これは2016年の自殺者数です。

1998年以来、14年連続して3万人を超える状況が続いていましたが、男性は7年連続、女性は5年連続で減少。2016年は22年ぶりに2万2000人を下回りました。

経済状況の好転、中小企業の資金救済策、さらには地方自治体やNPOの方たちによる細やかな自殺対策などで、なんとか3万人超という異常事態は脱しましたが、日本はいまだに「自殺大国」です。

自殺死亡率(人口10万人あたりの死亡者数)は世界ワースト6位

先進国では最悪のレベルです。

自殺理由で目立つのが健康問題」。42%がうつ病などの精神疾患が引き金となっていますが、がんを苦にした末の自殺も増えています。

先行研究では、がんと診断されることに起因する心理的ストレスは診断後1ヶ月~数か月以内で最も強く、がん診断から1年以内のグループにおける自殺率は一般の人(がんに罹患していない人)の24倍も高いことがわかっているのです(国立がん研究センター)。

海外でもがんを苦に自殺する患者は多く、肝臓がんやすい臓癌など難治性の高いがんで特に高まることがわかっています。スウェーデンで行なわれた研究では診断後1週間以内の自殺率に絞ると、1年平均の13倍にも達するという結果もあるほどです。

でも、実に残念なのがそういった危機を乗り越え、厳しい治療を乗り越え、がんサバイバーとなった後に待ち構えている現実”です。

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