【上手な怒り方】ストーカーにならないために……自分の特性と相手の特性を見極めろ

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「まぐまぐ大賞無料部門、教育・研究」カテゴリーで大賞に輝いた『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』。教育関係者から絶大な支持を得て大賞を受賞したこのメルマガの著者は「やる気スイッチ押してみよう!」を出版した松尾英明氏。ただの教育論の紹介ではなく、実践例を通して、現場で役立つ具体的な方法まで落とし込んでいます。今回はその一端をご紹介します。

1言って1伝わるか

「怒るというアプローチそのものが、根本的に向いてない」という人もいることを書いた。つまり、必ずしも怒っていうことをきかせる必要はない、ということである。

ただ、どんな特性の人であっても、怒った方がいい「場合もある」とは思っている。いじめや暴力のように、命に関わったり、人を傷付ける行為には、感情も込めて怒る時がある。その根底に愛情があり、相手のためを思っていれば「効果抜群」に伝わる方法になることがある。そこは、普段愛情を持って穏やかに接している場合ほど、逆に迫力が出る。ただ、やはり普段は「穏やか」アプローチを基本として、「怒る」アプローチは、「最終手段」にとっておきたい。

なぜかというと、指導や説得は「受け手9割」のところがあり、相手との普段の関係にかなりの部分がかかっているからである。これは、内容の良否に関わらない。

「上司の言うことを部下が聞くか」ということの問題と同じである。

「自分のためを思って言ってくれている」と、伝わるかどうかは、受け手との人間関係次第。こちらがどんなに愛情を持っていようが、相手の「心のコップ」がひっくり返っていては、逆効果である。

この辺りの見極めが難しい。関係には色々あって、

A 1言って1伝わる相手
B 1言って10伝わる相手
C 10言って1伝わる相手

がいる。

ABCの3種類ではなく、幅がある。

Aが「素直にそのまま受け止めてくれる」タイプ
Bが「効き過ぎる」タイプ
Cが「伝わりにくい」タイプ

である。

しかも厄介なことに、相手との関係によっては、このパターンをマイナスにして受ける人もいる。つまりAの逆で「1言ってマイナス1伝わる相手」もいる。BやCの場合も同様にある。言えば言うほど、マイナス

極端に例えるなら、一番関係性がひどいBの逆パターンの場合は、ストーカーに言い寄られている状態と同じ受け取り方である。愛情を持たれれば持たれるほど、関わりを持たれるほど、恐怖感や嫌悪感が増す。

万が一この関係になっている可能性がありそうな子どもに対する時は、怒るアプローチは、厳禁である。やればやるほど、ものすごいマイナスを被る

「心のコップを上向きにする」という作業に、普段から余念なく地道に取り組むしかない(だから「学級崩壊」の状態で担任に生徒指導を頑張らせるのは、かなり酷なことである。生徒指導担当や教務など、なるべく関係性の深い他の人間が代わりに入って行う必要がある)。

つまりは、「自分の特性」と同時に、「相手の特性」との関係に全てかかっているということである。だからこそ「学級経営、これで絶対うまくいく!」という必勝法は、無いと断言できる。できることは「様々な見方、考え方、手法を知り、人間性を広げ、選択肢を増やす」ということだけである。だから教える立場にある人間は、常に自省しながら学び続け自己変革をし続ける必要があり、そこには一生終わりがない。「もうこれで大丈夫」と思った時が、一番危険な状態である。

私も、人間関係で失敗している時がある。後で振り返って、申し訳なかったと後悔することもたくさんある。だからこそ、謙虚さを忘れずに、自省して学び続けたい。自信が過ぎて驕った時は、転落の予兆である。

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「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術
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