下町ボブスレー問題で露呈した、日本人のヌルいビジネス感覚

 

1点目は、ロジスティックスの問題で、トラブルの契機となった「ワールドカップでのマシン調達失敗」という事件です。報道によれば輸送機関のストで配達が遅れたというのですが、ちゃんとしたシッピングをしていれば「配達遅延の兆候」は見えたはずです。それを見越して例えば担当者が航空便で飛んで、その際にオーバーサイズのチェックト・バゲッジとして一緒に通関するとか、何とでも対応できたはずです。多分、そうしたコストは用意できなかったのかもしれませんが、そんなに経費管理が心細いようでは、この種の国際間のプロジェクトは難しいと思います。といいますか、バックアップ対策の経費が出るような保険をかけて発送するとかの対応もあったはずです。下町側の説明では、ラトビアのボブスレーには「既にジャマイカ用の塗装がしてあった」と、もしかしたらジャマイカの裏切りか、もしくはラトビア側に強引な営業姿勢があったことを匂わせる表現があります。仮にも、そうした兆候があったのなら、余計に先手先手で手を打って行く必要があったのです。

2点目は、契約という概念への甘さです。具体的には、「ラトビア製の方がタイムが出る」ということが判明した時点で、「五輪の出場資格を取るまではラトビア製で走って良い」という「契約をねじ曲げる対応了承していた」という問題です。仮にそうした報道が真実なら、この時点で、キャンセルという結果は見えていたと言っても良いでしょう。「ダメ」と言って通すか、あるいは「ラトビア製の性能を上回る改良」を五輪までに実施し、ちゃんと「最終コンペ」をさせて、そこで勝ってスッキリ使わせるとか「徹底した筋を通す必要がありました。それをしないで、「出場権獲得までは速いラトビア製で戦って良いから、本番五輪は約束通り下町でお願い」などというストーリーを、相手が理解するなどと信じていたとしたら、それは余りに身勝手です。国際ビジネスのシビアさを理解していないとしか言いようがありません。

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