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還元率のPayPayか、店舗数の楽天ペイか。10月開始「キャッシュレス還元事業」で損しない方法=岩田昭男

いよいよ10月1日から政府の「キャッシュレス・消費者還元事業」がスタートします。どうすれば最大限にお得を取れるのか。開始直前にできる準備を解説します。(『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』岩田昭男)

(編注:初出時、楽天ペイの還元施策について「国が援助する2%に楽天側が自腹の3%をプラスして計5%のポイント還元」としていましたが、これは誤りでした。実際は「国が援助する2%とは別に、決済時に楽天側が自腹の5%をプラスして計7%還元(実際は本体価格の7%以上の還元率)となります。修正してお詫び申し上げます。)

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プロフィール:岩田昭男(いわたあきお)
消費生活評論家。1952年生まれ。早稲田大学卒業。月刊誌記者などを経て独立。クレジットカード研究歴30年。電子マネー、デビットカード、共通ポイントなどにも詳しい。著書に「Suica一人勝ちの秘密」「信用力格差社会」「O2Oの衝撃」など。

PayPayと楽天ペイの手厚い消費増税対策。結局、どっちがお得?

「キャッシュレス・消費者還元事業」の大枠

いよいよ10月1日から「キャッシュレス・消費者還元事業」がスタートします。

全国の中小・小規模事業者でキャッシュレス決済すると2%、5%のポイント還元を受けられるもので、これを契機に政府は低迷する日本のキャッシュレス化を一気に進めようとしています。

その準備もやっと整ったようですから、私たちの方も急がねばなりません。

では、ここから国の定めた「キャッシュレス・消費者還元事業」の概要を見ていきましょう。

<対象期間>

この還元事業の対象期間は、今年10月1日から来年6月30日の9カ月間です。

<対象期間>

対象となるのは中小・小規模事業者の店舗とサービス(中小・小規模事業者とは、資本金5,000万円以下、従業員50人以下が条件)

<支払い手段>

キャッシュレス決済(クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコード決済)

<還元方法と還元率>

キャッシュレス決済すると、5%ポイント還元されます。ただしコンビニ、外食、ガソリンスタンドなどのフランチャイズチェーンは、2%還元となっています。

このポイント還元は別のやり方でも実行されます。コンビニでは2%の即時割引き、三井住友カード、クレディセゾン、JCB、UCカード、三菱UFJニコスといった大手クレジット会社は毎月のカード利用額請求時に5%分を値引く方法を取ります。

これは利用者の利便性を考えてのことです。すぐに還元の結果を知りたい人やポイントをもらっても使い方がわからないという人は値引きを求めます。

注目のキャッシュレス決済還元限度額

それでは次に各キャッシュレス決済のポイント還元の限度額を見てみましょう。

<クレジットカード、デビットカード>

クレジットカードのポイント還元の上限は、カード1枚あたり月1万5,000円となります。

同じカード会社のクレジットカードを2枚以上持っている場合でも、月1万5,000円×枚数で還元されるのでお得です。

また、国際ブランドと提携したデビットカードやプリペイドカードも同額の還元を受けられます。

<電子マネー>

電子マネーはチャージ額に対して5%のポイントを還元します。

還元額の上限は電子マネーごとに異なり、Suicananaco楽天Edyチャージ上限額の5%が還元上限額となり、月ごとの上限はありません。

一方、WAONは月ごとの上限があり、クレジットカードと同様に月1万5,000円までとなっています。

<QRコード>

QRコード決済でのポイント還元の上限は、事業者ごとの設定となります。

すでに発表された楽天ペイの場合は1回あたり2万5,000ポイントが上限で、50万円までの買い物で5%還元となります。月ごとの上限はありません。

PayPayは1回あたりの上限は楽天ペイと同じですが、月ごとの条件も2万5,000円までと厳しいので大きな買い物を続けるのは難しいでしょう。

では、すでに対応を発表しているPayPayと楽天ペイについて、その内容をみていきましょう。

Next: 10%還元も?PayPayと楽天ペイの手厚い消費増税対策とは



PayPayの対策

PayPayは手厚い対策を打ち出しました。

10月1日から11月30日まで、新キャンペーン「まちかどPayPay 第1弾」として、「キャッシュレス・消費者還元事業」の5%還元対象店舗で、さらに5%を上乗せして合計最大10%を還元します。

還元事業では、1回あたりの付与上限は2万5,000円相当(決済金額50万円)、1カ月あたりの付与合計上限も2万5,000円相当(決済金額50万円)です。

「まちかどPayPay」による5%還元の1回あたりの付与上限は1,000円相当(決済金額2万円)、1カ月あたりの付与合計上限は2万5000円相当(決済金額50万円)です。1回あたりの決済金額が2万円を超える場合は、還元事業の5%還元のみが適用されます。

PayPayで還元される金額の最高は2万6,000円。Yahoo!ジャパンカード以外のクレジットカードでの支払いは特典対象外となります。

楽天ペイの対策

楽天ペイは、QRコード決済事業者としては最も早く対策を発表しました。

最初は、中小店で利用すると5%ポイント還元フランチャイズチェーンなどは2%還元)といっていました。還元のタイミングは、利用月の翌々月末となります。

すでに述べたように上限は1回あたり2万5,000ポイント。つまり、50万円使えば、2万5,000ポイントの還元です。

しかも、月あたり上限なし。この「上限なし」という部分で注目を浴びました。月に何回でも加算できるから青天井と期待されたのです。

ただし、あとから出て来たPayPayが10%還元策を打ち出したので、それに比べると、全体の迫力に欠けるという声もあり、見直しを迫られました。

その結果出てきたのが「キャンペーン第1弾」です。これは中小店5%ポイント還元のままですが、対象外の大規模店舗に対してもあまねく5%のポイント還元をするという策で、これには、同業他社だけでなく利用者も驚きました。

なかでも注目はフランチャイズチェーンのコンビニです。 PayPayはここには手をつけませんでしたが、楽天ペイは、国が援助する2%とは別に、決済時に自腹の5%をプラスして計7%還元(実際は本体価格の7%以上の還元率)を実現しようとしています(編注:初出時は「国が援助する2%に自腹の3%をプラスして計5%のポイント還元」としていましたが、これは誤りでした。修正してお詫び申し上げます)。

これに続いてキャンペーン第2弾、第3弾も用意しているといいますから期待しましょう。

Next: 結局、PayPayと楽天ペイはどっちがお得? d払いやLINEpayも仕掛けてくる



PayPayと楽天ペイの還元策の比較

以上、 PayPayと楽天ペイの還元策を見てきました。

このまま行くと中小店なら必ず10%の還元を受けられるからPayPayが有利といえます。

一方で、大規模店とコンビニなら、楽天ペイを使えば確実に5%還元を受けられるのでこちらが有利といえます。

では、どちらが本当にお得なのか――こういう場合は、両方を使い分けるのが上手いやり方でしょう。

d払い、LINE Payなどが今後対応策を出してくるでしょうから、さらににぎやかになるでしょう。準備を怠らないようにしたいものです。

クレジットカードの紐付けがおすすめ

ところで、私自身の準備に触れましょう。

実は最近増えたクレジットカードを調べてみました。私の方針は、一貫しています。この10月からの還元策はチャンスだから取れるものは全部取ろうということです。

なので、財布やスマホの中身を再点検したら大変なことになっていました。大手のQRコードをとにかく入れています。楽天ペイ、PayPay、LINEPay、d払い、オリガミペイなどです。

しかし、びっくりしたのはその後です。QRコードに対応したクレジットカードをいつのまにか全部揃えているではありませんか。

楽天ペイには楽天カード、PayPayにはYahoo!ジャパンカード、d払いはドコモdカードゴールド、そして今後はLINEPayにLINEPay Visaクレジットカードを入れる予定にしています。

なぜこうした組み合わせを大切にしているかというと、Suicaとビューカードで有益な体験をしたからです。ビューカードからSuicaにチャージするたびに1.5%のポイントが貯まり、それをSuicaにチャージして電車に乗るという毎日を送っています。

そうすると、PayPayにYahoo!ジャパンカード、楽天ペイに楽天カードを紐付けておかないと何だか不安になってしまうからです。PayPayなど今やYahoo!ジャパンカードがないと全くお得を取れなくなっています。それがいかに大切かがわかるからです。

これは、QRコード決済でトクするための最初の準備といえるのではないでしょうか。

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達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』(2019年9月15日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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