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韓国、世界経済同時減速で大ピンチ。中国に頼れず、日本へ急接近し融和策に必死=勝又壽良

現在の韓国は滑稽なほど、日本との融和を求めて必死になっている。文大統領による「二度は日本に負けない」。こういう啖呵を切るゆとりは、すでに失っている。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2019年10月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

日本が甘やかしてきた?中国経済の減速で韓国はいよいよピンチに

文大統領が求めた日韓会談、叶わず

現在の韓国は滑稽なほど、日本との融和を求めて必死になっている。文大統領による「二度は日本に負けない」。こういう啖呵を切るゆとりは、すでに失っている。

文氏は、4人の密使を日本に送って、10月22日の天皇即位式に当り、安倍首相との首脳会談を模索させたが不発に終わった。日本側の厚い壁に阻まれた結果だ。

韓国は、儀礼的な日韓首脳会談を狙っていた。

目先の利益を追って四面楚歌

韓国大法院による日本企業への徴用工賠償を命じた判決は、日韓基本条約を骨抜きにする国際法違反である。

韓国は、こういう暴挙によって日韓関係を破壊した。日本が、絶対に承服できないとして、拒否するのは当然である。この問題が、日韓に突き刺さったトゲとなっている。韓国政府が、これを棚上げして、対日関係を軌道に乗せようというのは不可能だ。

日本は7月、韓国への半導体製造3素材輸出の手続きを厳格化した。

これに反発した韓国政府は、「不買運動」で対抗して「NO JAPAN」「NO 安倍」という幟(のぼり)を立て、全土に反日不買を浸透させた。

このことが、どれだけ日本側を硬化させたかわからない。輸出手続きの厳格化を、わざわざ「輸出数量絞り込み」と曲解させ、反日を煽った韓国政府のやり口はあこぎ過ぎるのだ。日本が、怒りを鎮められないのは当然だ。

韓国は、さらに「GSOMIA廃棄」という見当違いの対抗策を取ってきた。GSOMIAとは、日韓軍事情報包括的保護協定である。日米韓三ヶ国の安保体制を象徴する「安保インフラ」だ。「江戸の仇を長崎で討つ」という感状過多な行動に出て、米国からの強烈な批判を浴びる事態となった。

米国は11月23日までにGSOMIA廃棄を撤回するように要求している

韓国は、米国の要求を撥ね付けられる状況にない。米軍は、韓国に駐留し米韓軍の指揮権を握っている。こういう中で、韓国が取るべき道はただ1つ。GSOMIA騒動の終息である。

それには、日本からの「言質」が欲しいのであろう。日本による韓国への「ホワイト国除外」停止である。GSOMIA破棄は、韓国が勝手に決めた屁理屈であり、日本が手を貸すべき話でない。

Next: 日本が甘やかしてしまった? 中国経済の減速で韓国はいよいよピンチに



日本は融和策に乗るべきではない

従来の日韓紛争では、互いに最後は「腹芸」で落としどころ探してきた。結果的に、それが韓国を甘やかせた。日本は、日韓併合という植民地政策の「借り」を、こういう不条理なバーター取引で穴埋めしてきた。だが、日韓基本条約によって、その「借り」はすでに解決済みである。

韓国大法院が、今回のような国際法違反の判決を出した裏には、日本への甘えがあったであろう。「人権に時効はない」と大見得を切った判決だが、日韓基本条約で解決済みなのだ。

司法が、条約に判断を下すことは国際的にタブーである。韓国は、そのタブーに挑戦した判決を出したのである。

この裏には、文大統領の強い意志が働いていた。昨年8月、文氏は大法院の判決を誘導するような演説を行っている。文氏は、口を開けば「韓国は三権分立だから、判決を尊重しなければならない」と逃げ口上に使っている。

だが、今回の「チョ・グク問題」を見ればわかる通り、大統領が公然と検察捜査に圧力を加えているのだ。

文大統領による徴用工賠償発言は、「人権に時効はない」と言うほど高尚なものでない。「反日」への利用がすべてである。

徹底した反日行動を行って韓国世論を引きつけ、次期大統領も進歩派から当選させる党利党略に過ぎない。

日本が、こういう見え透いた文氏の戦術に手を貸して、融和策に乗るべきでない。韓国の蒔いた種は韓国に刈り取らせる。外交面で二度と党利党略を行なわせない。そういう教訓を身につけさせることだ。

中国の異常減速で右往左往

ここへ来て韓国に、困る事態が持ち上がっている。米中貿易戦争によって、世界経済が同時減速の様相を呈してきたことだ。

とりわけ、中国経済の減速が目立ってきた。

韓国は、対中輸出依存度が全体の4分の1を占めている。中国のGDP成長率が1%ポイント低下すれば、韓国のGDPも0.5%ポイント引き下げられるという相関関係だ。中国の減速が、韓国の減速をもたらす「双子関係」にある。

韓国はこれまで2回、通貨危機に直面した。ウォン相場の急落という「取り付け騒ぎ」に遭遇した。1997年2008年である。『中央日報』(9月19日付)が、以下のように指摘した点は傾聴すべきである。

1997年のアジア通貨危機当時は、韓国を米国・日本・欧州・中国の経済が支えた。韓国メディアは、国民がこの経済危機を乗り切るべく、「金集め運動」を行ったという美談に仕立てている。韓国が2年ぶりに通貨危機から抜け出せた本当の原動力は、ウォン安で対米・対中・対欧州輸出が急増したことである。

2008年の金融危機当時も状況は同じであった。中国が、中央政府の4兆元(約60兆円)、地方政府まで合わせて計18兆元(約270兆円)を投入するという超大型の景気浮揚策で経済を持ちこたえた。韓国が、金融危機から早期に脱却できた理由だ。中国特需で金融危機を乗り越えることができたのである。

今回は、当時のように頼れる国がない。世界経済が減速しているためだ。

Next: IMF、大半の主要国で経済成長率見通しを下方修正。とくに韓国は…



世界経済は同時減速へ

中国は、米国と通商紛争の渦中にあり、李克強首相が「もう6%台の高速成長を持続するのは容易でない」と公式に認めたほどだ。

IMF(国際通貨基金)のチーフエコノミストのギータ・ゴピナート氏は16日、日本経済新聞の取材に対して、中国へ「2020年は6%割れ成長」を予告している。それどころか、「システミックリスク」(金融の連鎖倒産)すら、予測される事態に陥るリスクを抱えている。

中国経済は、「流動性のワナ」にはまっている。マネーサプライ(M2)の伸び率は、いくら金融緩和を行っても前年比8%台前半に止まっている。昨年の10~11%台の伸び率から見て鈍化しているのだ。これは、金融機関が信用創造に慎重になっている証拠である。貸し付けても確実に返済されない不確実な相手に、融資を絞るのが当然である。

前記のIMFチーフエコノミストのギータ・ゴピナート氏は、次のようにも指摘している。「貿易戦争の激化などで地政学リスクが高まり、金融面での収縮を引き起こせば、世界景気は2.5%へと近づくだろう」

IMFは2019年、世界の経済成長率を3.0%とみているが、金融面での収縮(システミックリスクの発生)という事態が起これば、成長率は下方修正されて2.5%を切り、景気後退へ突入すると見ている。

その懸念は、単なる喩え話でない。中国経済が行き詰まれば、現実に起こり得るところに不気味さがある。

その場合、大きな影響を受けるのが韓国経済である。

IMFが成長率を大幅下げ

IMFは、10月15日(現地時間)に発表した『世界経済見通し』で、今年の韓国の経済成長率を2.0%へと下方修正した。

4月の予測値(2.6%)より0.6%ポイントも引き下げたのだ。20年の経済成長率も2.2%にとどまるものと予想した。

ただ、この見通しは「公式見解」として、オブラートに包んでいる。先述のIMFチーフエコのミストによれば、世界経済全体が抱える縮小リスク、特に中国経済のリスクを勘案すると、楽観できないのだ。

IMFは、ほとんどの主要国の今年の成長率を下方修正した。中国は、4月時点の6.3%から10月時点で6.1%へと0.2%ポイント引き下げた。日本も1.0%から0.9%に下げている。ドイツ(0.8%→0.5%)、フランス(1.3%→1.2%)、インド(7.3%→6.1%)なども、成長の勢いが減速するものと予測する。

日本について、前記のIMFチーフエコノミストは、次のように指摘している。「日本は消費税増税の影響があるにもかかわらず、底堅い家計支出と公共支出によって19年は0.9%の成長を維持できそうだ。20年は潜在成長率並みの0.5%に下がるとみている。基本的な見通しとして、景気後退を予想していない」。日本の消費増税による景気リスクは軽微と見込んでいるのだ。財政支出による需要喚起策が、増税の落ち込みをカバーしており、「日本の財政スタンスは中立的といえる」と指摘している。

米国の今年の成長率は、2.3%から2.4%へ上方修正された。中国の下方修正と対照的である。米国製造業は、米中貿易戦争による影響を受けている。ただ、米国製造業はGDPの10%程度とウエイトが低く、旺盛な個人消費が経済を押し上げている。

米中貿易戦争で、米国が余裕を持って中国へ圧力をかけている背景が窺える。

Next: 日本を頼るしかない? 米中貿易戦争の影響を強く受けるのは韓国



米中貿易戦争の影響を強く受けるのは韓国

米中の置かれた経済状況が異なることは、米中貿易戦争を長引かせる要因となろう。

中国は、米国の主張する市場経済システムに抵抗している。あくまでも、補助金をテコに使って、国有企業制度を堅持する方針である。「中国製造2025」は、その典型例である。

米国はこの「中国製造2025」を潰そうと狙っている。一方の中国は、これによって産業高度化を図ろうという戦略だ。この攻防が長期になれば、中国経済へプレッシャーが強くかかるので、経済成長率は引き下げられる。

米中貿易戦争の影響を強く受けるのは韓国である。最も強い影響は、自由貿易港の香港シンガポールだ。韓国は、これら2国に次ぐ影響を被る。

韓国政府は、こうした状況下にあることをどこまで認識しているのか。韓国メディアでは、危機意識がないとサジを投げている。

日本に接近する狙いは…

韓国大統領経済首席秘書官は10月13日、「韓国経済は善戦している」と主張して、経済危機論を一蹴した。韓国の経済成長率が、潜在成長率にも満たないという指摘については、「ビジネスサイクル(景気変動)要因だ」と主張したというのだ。

このように、「言い訳の術」に長けているが、韓国経済についての危機意識は希薄である。自らが、立ち上がって危機を除去するという感覚に乏しいのだ。

実は、こういう韓国政府の「他人任せ」のところが、最近見せる執拗な日本接近の裏にあるようだ。

あれだけ国を挙げた「反日不買運動」を行いながら、情勢不利と見ればケロッとして日本へ接近してくる。普通の感覚ならば、恥ずかしくてとてもできない振る舞いである。韓国には、そういう「恥」の認識がないのだろう。

日本は、こういう隣国と付き合わねばならない運命なのだ。

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勝又壽良の経済時評』(2019年10月17日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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勝又壽良の経済時評

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経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。

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