安心は傾かず?欠陥公開の裏で描かれた「三井のシナリオ」

 

三井のいち早い回答によって、逆に、住民は力を合わせて戦う相手がいなくなったわけで、団結して不満をぶつける相手がいない状況では、住民の苛立ちが、それぞれの主張の先鋭化に繋がりやすく合意形成は難航するのではないかと危惧します。

住民同士が対立するような状況での暮らしは建物の不安と人間関係のストレス両方を住民に強いることになり、コミュニティも崩壊してしまいそうで、本当に残酷なことだと思います。

それで体調を崩してしまう方がないようにと願うばかりです。

ちゃんと保障してもらえるなら、よかったじゃない…、で済まされるような問題じゃないです。

だからこそ、三井不動産には、二度とこんなことがないように、会社を上げて本気で取り組む姿勢を示してもらいたいと願います。それが業界のスタンダードになるくらい頑張ってもらいたいと思います。それで初めて「さすが三井」というのを素直に聞く気持ちになれます。

原因を、孫請け会社の一担当者の倫理観の問題だと矮小化しないでほしいです。それでは、問題の根本的解決になりません

ほとんど利益も出ずに、厳しい納期を押し付けられる孫請けの実態が、このような事件が起きる背景にあるとも言われています。それを改善しなければ、こういう問題は、いくら検査体制を強化してもなくならないと思います。

そして、思います。

私たちも、現場で働く人たちの状況を常に意識してものやサービスを購入しなければけないと。社会の構造の不具合は、私たち1人ひとりの意識の問題でもあると思うからです。

すべての人が、自分の仕事に誇りを持って働ける以前の日本を取り戻したいと思うからです。以前に書いたように。

● 参照:vol.183「関心を寄せて何も言わないのは無関心じゃない」 

そして、神野直彦先生じゃないですが、「信頼」こそは、もっとも重要なソーシャルキャピタルだと思うからです。

● 参照:vol.170「信頼関係はソーシャルキャピタル」 

image by: MAG2 NEWS

 

まんしょんオタクのマンションこぼれ話
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