【書評】起業家が失敗と成功を赤裸々に語る「転ばぬ先の杖」

 

さっそく、気になった発言をチェックしていきましょう。

1社目の時は、他の共同経営者は皆、フルタイムの仕事を別に持っていたので、僕だけフルタイムで働いていました。その教訓を活かし、2社目ではフルタイムで働ける共同経営者を探しました<小林 清剛(NOBOT, Chanoma)>

2社目で立ち上げたコーヒーの通販サイトは、お客さんも取引先も多く、外から見ると事業は回っていたのですが、構造的に儲からない仕組みになっていました。しかし、当時は未熟だったため、事業の欠陥に気づくことができず、収益化に至りませんでした<小林 清剛(NOBOT, Chanoma)>

起業家にとって大切なことは、3年、5年、10年後の未来に対して、自分が誰よりも信じられる強いヴィジョンを持つことです。そして、たとえ他の人に反対されても、自分の信じる未来に対して、誰よりも早くリスクを取ることです<小林 清剛(NOBOT, Chanoma)>

もし、日本からグローバルな製品をつくりたいのであれば、最初から英語で製品をつくったほうがいいし、共同創業者も従業員も、日本人だけではなくて、他の国の人もチームに入れたほうが良いです<小林 清剛(NOBOT, Chanoma)>

両親は教師ですし商売人の家系に生まれたわけではありませんが、独立心を養うような教育を受けてきました。新聞配達をしていたこともありますし、家の中の仕事をすると1週間でいくらのお小遣いが貰えると決まっていました。中学生の頃は、家族の洗濯物を全部干して畳んだり、お風呂を洗ってから学校に登校していました。お小遣いは稼ぐものだったので、そういう教育を受けたことは自分にとってプラスだったのかと思います<木村 新司(Gunosy)>

Gunosyの従業員は結構、自社株を持っています。日本でスタートアップのエコシステムが回るようにするためには、将来的に退職した社員がお金を手にして自分たちでスタートアップをやりたい、かつキャッシュもある、投資をしてもいい、という状態にしたほうがいいと思っています<木村 新司(Gunosy)>

Y Combinatorで教えられていることの一つには、「つくる前に売れ」というものがあります。スタートアップは、顧客と話す前にプロダクトをつくりがちです。すると誰も使わないモノをつくってからそのことに気づいて、失敗をします<福山 太郎(AnyPerk)>

スタートアップのCEOとして重要な役割はいくつかあると思います。ヴィジョンを持ち続けて、方向性を示し続けることが1つ目。会社に有能な人材を呼び込み続けることが2つ目。そして資金をショートさせないことが3つ目です<福山 太郎(AnyPerk)>

うまくいっている経営者は「こんなものをつくっていてね……」と、スタートアップの起業家のように興奮しながら話してくれます。仕事を楽しんで、決して社員のことを悪く言いません<山本 敏行(ChatWork)>

さまざまなアドバイスがあり、いずれも参考になるのですが、全体として、日本の起業カルチャーをどう創っていくかのヒントになる内容でした。

起業家はもちろん、政治家やビジネスパーソンにも広く読んでいただき、日本の起業文化醸成につながればいいなあ、と感じた次第です。

ぜひ読んでみてください。

image by: Shutterstock

 

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著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。

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