『ママチャリで日本一周中の悪魔』として、もはや日本中で知らない人はいない、とまで浸透するにはまだ時間がかかっているという、自称悪魔・大魔王ポルポルさん。徳島ラーメンに生卵を13個も入れて食べ、某巨大掲示板で「食べ物で遊ぶな!」と叩かれていたかと思ったら、さらに南下して坂本龍馬とカツオとナスの産地で有名な高知県に着いたとのこと。ここで、またイイ感じの市場で美味しそうな名物料理を征服してしまったようで……。
悪魔がカツオで宙を舞う…絶妙な塩味にタタキのめされた大魔王
高知市の人気スポット、「ひろめ市場」は観光客で賑わう素晴らしい場所。
多くの飲食店や土産屋が軒を連ね、市場の中にたくさんのテーブルやイスが置かれている。
客は、この市場で買ったものをその場で食べたり、他の客と交流したりできるのだ。
「この場所を征服した者は、坂本龍馬の次に高知を征服したことになる」
我輩は、ひろめ市場を「暗黒市場」へと変えるべく、魔魔チャリ(ママチャリ)のペダルを急いで漕いでいた。
(なんといっても、高知のカツオのたたきは日本一! カツオのたたきは高知で食べなければ!)
という思いがあったので、ひろめ市場の中にある「やいろ亭」のカツオの塩たたき定食を食べることにした。
無事に到着。我輩が市場内をウロウロしていると、多くの店と観光客で賑わっているため、当然のように「変な生き物」を見るかのように、ジロジロと見てくる。
指をさしてくすくす笑う者から、「テレビ?」と首をかしげる者まで、……ジロジロ……ジロジロ見てくるのだ。
「なんやねんコイツら! ドツイたろか!」
と、少しイライラしながらも、我輩は、目的のやいろ亭を探し歩いた。
やいろ亭は、ひろめ市場で一番活気ある場所にあったのだ。
「ガッハッハッハ! カツオの塩たたき定食を1つ作るのだぁ!」
と、店の前で大魔王節を炸裂しながら吠え狂った。周りで食べてたお客さんも、ある意味、恐怖で震えだした。
すると店員が我輩の前に現れ、
「あれー、面白い人が来たねー。ハハハ、しおてい1つ!(塩たたき定食の業界用語)」
と、軽くあしらわれてしまった。
我輩は急に恥ずかしくなり、ほっぺを赤くさせる。そして、
「この白いのは何だい? 流行ってんのかい?」などと追い打ちをかける店員。
もはや、ホッペがカツオのように赤く染まる大魔王。
「あ…日焼け止め……です」と、岡山・黒川食堂の時と同じ嘘をついてしまった。
我輩は市場を支配するのも忘れて、単なる一人の観光客になってしまったが、ひろめ市場には、魔力を忘れさせる何かがある。そんなことを感じていると、塩たたき定食が出来上がってきた。
鮮やかな赤い光を放つカツオ、その匂いが我輩を海で泳いでいる気分にさせてくれる。
「ガッハッハッハ! 素晴らしい。見ているだけで海を泳いでいる気分だ!」
と、よくわからないことを言い出すほど鮮やかだ。
我輩は箸を手に取り、そのカツオを1つ、口の中へ入れた。
そのとろける食感に口の中でプリプリのカツオが泳ぎだす。
そして口の中でカツオは溶けた。
「なんということだ! う……うまいではないか……」
口の中で溶けたカツオは我輩を天へと誘い、あたかも空中遊泳している気分にさせてくれる。
カツオにはイイ具合に塩が乗っており、カツオの味を引き立たせていた。
「な……な……なんという……カツオの生命力なのだ。全身に生命力が伝わってくるではないか!」
そして我輩は吠え狂った。
「今まで食べてきたカツオとは何だったのか! これは間違いなく養殖ではない、天然のカツオや!」
そう言い残して、市場内の次の店へと向かった。
上を見上げれば、そこには「芋けんぴ」
ひろめ市場には、もう1つ征服しなければならないお店がある。
お土産屋の黒潮物産だ。高く積まれた芋けんぴのタワーがあり、数種類の芋けんぴを扱っている。
我輩は店の前に行くと、その芋けんぴタワーに度肝を抜かれた。
「ガッハッハッハ! 我輩は芋けんぴのタワーを買いに来てやっ……って、これ買っても持って帰れへんな……」
高さ2m程もある芋けんぴタワーが、我輩の心を押しつぶしていたのだ。
魔族といえども引くときは引かなければならない。これは購入不可能である。
そんなことを考えていると店の奥から店員がやってきた。
「あれー、真っ白い顔して―。ハハハー!」
と、我輩をあざ笑っている。
「あのー、この芋けんぴタワーを買いに来たのですが、僕はママチャリなので買えません。おススメの芋けんぴを買いたいのですが」
「あらー、しゃべりは普通の人かい。可愛らしいねぇー、この塩ニンニクは珍しいよー」
と、さっそく店員に舐められてしまった……。我輩としたことが…情けない。
「あ、それ1つと、イチゴ味のやつの2つお願いします」
と、塩ニンニク味とイチゴ味の芋けんぴを購入した。
塩ニンニクはピリッとしたニンニク味が効いた、おつまみに最適な一品。
イチゴ味は甘すぎてちょっとクドい。イチゴよりもノーマルな芋けんぴを買えばよかったな、と後悔した。
ひろめ市場には、悪魔の「征服」という目的を、「普通の観光」に変えてしまう何かがある。
坂本龍馬の次に高知を征服することはできなかったが、
「そんなことはどうでもよい!」
と言い残し、次なる目的地・愛媛県大洲市へと向かったのだった。
幻の果実「ポポー」を食べるために。←そのルポについて詳しくはこのリンク先を見てほしい。
大魔王ポルポルの旅はまだまだ続く……。
DATA:
やいろ亭
住所:高知市帯屋町2-3-1(ひろめ市場内)
営業時間:
11:30~22:00(平日)
10:30~21:00(日曜)
定休日:無休 (ひろめ市場休館日に準ずる)
黒潮物産
住所:高知市帯屋町2-3-1(ひろめ市場内)
営業時間:
8:00~18:00(平日・土・祝日)
7:00~18:00(日曜)
定休日:無休 (ひろめ市場休館日に準ずる)
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著者/大魔王ポルポル
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