平和は敵。テロ戦争で儲ける「軍産複合体」の正体

 

ロシアが短期間でそれほどの効果をあげられるのに、米国など多国籍軍にできないはずはない。

ひょっとしたらISの脅威を誇大につくりあげている勢力がいるのかもしれない。

そもそも、膨大な数の武器をISはどこから調達しているのだろうか。

イラクのクルド人部隊がIS戦闘員から押収した武器を、ロンドンに拠点を置く「紛争武器研究所」なる民間団体が調査したところ、武器の大半は米国、ロシア、中国製で、最も多かったのがM16ライフルなど米国製だった。

AFP電によると、米軍支給品であることを示す「Property of US Govt」の刻印もつけられていたという。

どういうルートでISにそうした武器が流れているのか不明だが、FAR Newsが報じるように、米英軍からひそかに供与されている可能性や、ブローカーなどを通じて、米欧の軍需企業から買っていることも考えられなくはない。

アメリカ国防総省もCIAも、軍需産業と一体となって動く、いわゆる「軍産複合体」の一員である。共通の利益を追うことがあるのだ。

そして、次に述べる事実を頭に入れておく必要がある。

東西冷戦が終わり1990年代に入ると、米欧諸国が軍事予算を削減したため、軍需産業は苦境に陥り、生き残りをかけて合従連衡の動きを強めた。

ロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマンの誕生、ボーイングによるマクドネル・ダグラスの買収などにより、軍需産業は巨大化した。

世界的な兵器メーカーのほとんどは米国の会社だが、英国のBAEシステムズやフランス、ドイツ、スペインの「エアバスグループ」(EADS)も米国勢に比肩しうる規模を誇っている。

さて、肝心なのはここからだ。軍需産業には、米欧の企業のみならずロシア、中国も含め、固く守ってきた業界ルールがあるという。

◆第一は、国内外のメーカーを問わず、完全な競争の原則のもとで、兵器輸出はいかなる国に対しても自由に行ってよい。第二は、紛争の挑発と拡大に寄与する行為には、国籍を超えて協力し合う。第三は国家が表面で掲げる外交政策とは無関係に行動してよい。(広瀬隆著「アメリカの巨大軍需産業」より)◆

つまり、彼らにとって、国どうしの対立などどうでもよい。互いに儲けるためには、各企業の兵器がたくさん売れて紛争が増えることが望ましい。ライバルどうしでありながら、目的はひとつ。戦争で稼ぐという一点に尽きるのだ。

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