都合のいい消費税の「言い訳」にダマされるほど国民はバカじゃない

 

消費税10%への道

鳩山政権では「消費税率は4年間上げない」とマニフェストを掲げ民主党が総選挙で勝利し、政権交代を実現。しかしながら、税金の問題を今後どうするのかという問題は残る。結局、民主党も税金の問題を真面目に考えなければならないということで、菅政権になってから「消費税10%」を打ち出し選挙に惨敗。この問題は一時棚上げになるが、与野党の間で「消費税」の問題討議はずっと続き、結局野田政権で「2014年に8%」「15年に10%」に引き上る「税金と社会保障の一体改革」をすることで三党合意(民主、自民、公明)し、税金の問題は一旦落ち着くようにみえる。

そして安倍政権で消費税を昨年より8%に引き上げ、10%への引き上げは景気が悪くなることを憂慮し一年半延期17年4月)した。今回、庶民に一番関係のある税金の成り行きが決定し、外食を除く食料品は8%に据え置き、外食は10%に引き上げられる見通し。

消費税の使用に疑問

財政再建が必要だということは国民も理解しているが、税金の問題になぜここまで世論が厳しいのかというと、税金は直接国民の懐に直結してくるためなかなか同意することはできないからである。しかしながら税金を取らないでいると赤字が進行し大変な自体に陥る。日本の財政赤字は1千兆円と財政を健全化しなくてはならないことはわかっているが、弱者に税金を課すと負担がかかるということが今大きな問題となっている。

さらに、高齢者社会の為に税金を上げる、社会保障の為にもやっていると言うが、健康保険の医療費自己負担1割から3割に引き上げ、老齢年金の支給開始年齢が「60歳」から「65歳」になり、介護保険制度創設により保険料に加え利用者負担が請求されるなど社会保障の負担は増加の一途をたどっている。国民は消費税を社会保障にきちんと使われていないと思っている。

印象に残る逸話

消費税の変化の中で私が記者時代に一番印象的だったのは竹下政権時代。当時の消費税のキーマンは慶應大学教授の加藤寛氏。ミスター税調と呼ばれ、「カトカン」の愛称で親しまれた気さくな人だが、政府の批判をしばしばしており強烈な発言の一つとして「高齢化社会のためといわれ、われわれ税調もそう説明したが、本当はああ言えば一般に人にわかりやすいから」と消費税は福祉のためではないことを明らかにしたことがあった。
そんな加藤氏は消費税論議の舵取り役を任されていたため、増税反対運動に遭い「勤め先の慶應大学や自宅にカミソリの入った抗議文などが届き、1年で段ボール10箱分を超えた」と話していたことがあったので、当時の国民感情の怒りがどれほどすごかったかということがわかる。

そんな状況下でも竹下元総理は、消費税導入に並々ならぬ意欲を持ち、前の税制会長である野田毅氏の話では法案成立が決まった際、日ごろ感情を表わさない竹下氏が「目に涙をためて泣いていた」という。

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