都合のいい消費税の「言い訳」にダマされるほど国民はバカじゃない

 

消費税は法人税の穴埋め!?

そこまでして成立した消費税は、国民との約束と違い実際に何に使われているのかというと、実質的に落ち込んだ法人税収の穴埋めに使われている。金額を見ると消費税導入後27年間の消費税の税収は「304兆円」で、その間法人税の基本税率は「38%」から「25.5%」に大幅に引き下げられており、1989年の消費税導入時に比べ「法人3税」(法人税+法人住民税+法人事業税)の税収減は263兆円となっているのだ。

国のおカネの収支の考え方は、「入るをはかりて出をなす」。入る=消費税(事前に収入を見積もり)、資金繰りのメドを立て、出=支出=国の予算をたてなければだめだがこれ出来ていない。結局、消費税を導入し、おカネが入ると無駄に使っている。

消費税構成比の比較

参考までヨーロッパと日本の消費税が国税に占める割合を見てみると以下の通り。国、税収に占める消費税の割合(消費税率)の順に記載、数値は財務省ホームページより。

フランス:39.5% (20%)
ドイツ :46.7% (19%)
イタリア:37.1% (22%)
イギリス:41.3% (20%)
スウェーデン:38.4%(25%)
日本  :30.7% (8%

これらを見ると、各国とも消費税課税に大きなウェイトが置かれていることがわかる上に、日本以外の税率をみるとこれ以上消費税を上げることは難しい。

決して騙されない国民

いま、軽減税率がフォーカスされ「食品全般が8%に守られた」とホッとさせ、その財源の不足分確保の為の増税が進みそうな気配である。「増税」自体「本当に大丈夫なのか?」という根本的な議論を改めて行なう必要がある。安全保障関連法案の時のように強引に進めれば「国民は時間が経てばやがて忘れる」と政権は思っているのだろうが国民はバカじゃない

同じような約束を果たされない歴史を繰り返さないで欲しい。これで本当に「社会保障」と「財務再建」はうまくいくのだろうか。

(TBSラジオ「日本全国8時です」12月15日音源の要約です)

image by: Shutterstock

 

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