オープンスポーツカーの雄・マツダ ロードスターRSはここまで走る

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国産オープンスポーツカーの雄、マツダ・ロードスターのラインナップに加わったRS。従来のモデルとどう差別化されているのでしょうか。『写真と動画も楽しめる マニアック情報満載カーマガジン AutoProve』に、同誌編集長で2014-15日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員、事務局長でもある高橋明さんが詳細な試乗レポートを寄せています。

マツダ ロードスターRS試乗レポート 走りの質にこだわり、通な違いが分かるか

ロードスターに新たな仲間が加わった。「RS」グレードだ。ロードスターには、以前2種類の個性があるというレポートを書いたが、3つ目の個性とでもいうRSがグレードに加わった。

新グレードの「RS」も外観でのグレード違いは見分けにくい

新グレードの「RS」も外観でのグレード違いは見分けにくい

おさらいすると、ひとつはLSDリヤスタビライザー、そしてボディ剛性を上げるための補強パーツを装備していないグレードと、それらを装備するグレードという2種類。前車はSグレードとAT搭載モデルで、後車はSスペシャルパッケージ、SレザーパッケージのMT搭載車で、それぞれの違いを代表するのは、ハンドリングの違いだろう。

補強パーツがばっちり床下に貼られている

補強パーツがばっちり床下に貼られている

AT搭載グレードやエントリーグレードに設定しているモデルは、ちょっと大雑把な言い方になるが、弱アンダー傾向でスローインファストアウトという、ドライビングの基本に忠実な運転をするとベストな持ち味を味わえるモデルで、一方のボディ補強やLSDを装着したモデルは、積極的にコントロールができ、ドライビングプレジャーが強烈に印象に残るタイプだ。

今回ラインアップに加わったRSは、さらにドライビングプレジャーを追求したとでも言えるモデルで、装備面もドライビングに直接影響する部分で異なる装備を持っている。それは、レカロシート、ビルシュタインダンパー、そして大径のブレーキローター&キャリパーだ。

RSには専用のビルシュタインを装着

RSには専用のビルシュタインを装着

 

RS用はブレーキローター&キャリパーも大型になった

RS用はブレーキローター&キャリパーも大型になった

一般的には装備の違いやパワーの違いでグレード付けされるものだが、こうして考えるとロードスターのユニークな一面として、エンジンが1種類のロードスターでは、ハンドリングによるヒエラルキーを設定しているようにも見える。このあたりもファンから熱い支持が得られる要因かもしれない。しかし開発主査である山本修弘氏は「ヒエラルキーを作りたいわけでなく、それぞれの個性に応じた生活の中で、多様な世界観を広げてもらいたい」と言っている。人にはそれぞれの価値観があるから、個性に応じたロードスターをチョイスし、自分なりの世界が広がることを期待するという意味だろう。

ワインディングを走る修行が楽しい

ワインディングを走る修行が楽しい

さて、それらの走りの装備をしたRSのインプレッションだが、これがなかなか大人な印象で、まさに通好み。ステアリングをわずかに切るというアクションで、直進の座りが強いドイツ車では少しステアリングが重く感じるときがあるが、ロードスターはそこが滑らかだ。これは以前にもレポートしているが、「あっ、あそこからカーブだ」と思った瞬間、クルマはいつの間にかカーブに対し穏やかに、そして滑らかに曲がり始めている。

そこがND型ロードスターの最大の特徴だと思っているのだが、今度のRSは「その滑らかにカーブを曲がり始めたな」と思った瞬間わずかにリヤが沈む。そして微妙にロールをはじめ、気づくとダイアゴナルロールが始まっている、というコーナリングをするのだ。

何を言っているのか? わからないかも知れないが、クルマがドライバーの意思を理解しているかの如く、自然とカーブを曲がる動きを準備し、動き出しているという印象なのだ。だから、40km/hくらいの速度でも、ワインディングを飛ばして果敢に攻めまくるときでも、クルマはいつでも準備万端で、穏やかに、滑らかに意のままに走ってくれるのだ。

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