オープンスポーツカーの雄・マツダ ロードスターRSはここまで走る

 
専用のレカロシートは存在が消えるほどフィット する

専用のレカロシートは存在が消えるほどフィット する

 

専用のレカロが左右に。贅沢な眺めだ

専用のレカロが左右に。贅沢な眺めだ

ワインディングをさんざん攻めまくったあと、「そういえば、シートのフィーリングがなかったなぁ」と思い出した。それは、身体にシートが密着していてシートの存在を意識できなかったという印象だ。身体と一体化して溶けている印象で、これもまた、凄いことだなぁと感心した。

ブレーキも大径化され、激しいブレーキングを繰り返しても安定した制動力と耐フェード性が高いことも体験する。難しいのは、ハードなブレーキングをした時の姿勢変化だ。前のめりになり目線が上がるのはまずい。このND型は若干前のめりになるが、目線が変わってしまうとはあまり感じない。しかし、高級なクルマになるほど、沈み込むような制動をするのを知る人も多いだろう。ロードスターはスポーツカーだ。ブレーキングで前荷重を作れたほうがコーナリングには有利。沈み込むような制動ではワンテンポ遅れるのか? このあたりの難しさを感じた。

さて、そうしたインプレッションとなる根拠を少し紐解いてみよう。まず、サスペンションの狙いだが、よりダイレクトでフィードバック感を上げることを目指している。そのため、S→Sパッケージ→RSというグレード違いにおいて、フロントのスプリング、スタビ、ダンパーのチューニングでは、ダンパー以外は共通としている。ダンパーは先にも書いたようにRSにはビルシュタイン製を採用している。また、SとS-パッケージとの間でも異なるダンパーを採用している。リヤもダンパーだけが違い、リヤスタビもS-パッケージと同仕様だ。

RSのサスペンションのポイントとなるビルシュタインダンパーの特徴は、大径ピストンを採用しS-パッケージでは40φだが、RSは50φ。ストロークし始めの減衰の立ち上がりが、伸び側、縮み側どちらもレスポンスが高く、リニアで追従性が高いという特徴を持つ。

さらにバルブ部分のシムのセッティングにおいて、シムの厚さ、径を通常の4倍の細かさでセッティングが可能というのも特徴となっている。とりわけ、フロントダンパーの特性を変更し全域で減衰力を向上させ、より高速、高G領域でも正確な荷重コントロールを実現できると説明している。

カムカバーが見えるエンジンもイマドキは珍しい

カムカバーが見えるエンジンもイマドキは珍しい

このサスペンションの動きをサポートする重要な箇所としてタワーバーが追加されている。ストラットトップとバルクヘッドを結び、ダイレクトなレスポンスとしてフィードバックされるわけだ。ちなみに、先代RSのストラットタワーバーより300gの軽量化が行なわれているという。

ブレーキではフロント、リヤともローター径が大径化されている。フロントが258mmから280mmにサイズアップし、リヤが255mmから280mmとなっている。ちなみに、S-パッケージとの見た目の差はホイールの内側淵からキャリパーまでの距離が狭いか広いかで大径化が確認できるという地味なチューンだ。

見た目キャリパーに色が欲しい…

見た目キャリパーに色が欲しい…

 

キャリパーとリムの隙間が狭くなっているのがRSだ

キャリパーとリムの隙間が狭くなっているのがRSだ

エンジンサウンドにもチューンニングの手が入りISE(Induction Sound Enhancer)というサウンドを強調するものが装備されている。こちらはRS以外のグレードにはオプションとしてISEが装着可能で、価格も2万円台のお手頃価格だ。ただし、ドラスティックな変化はないので、期待を持ちすぎないことをアドバイスしておく。

グレード追加となったRSは以上のように、走りの質にこだわったモデルで、ND型を使い切るタイプのユーザーに向いているモデルだろう。例によって外観でグレード違いがほとんど見分けはつかない。キャリパーとリムの内側の距離の違い程度だけで、パッと見ただけでは全く分からないRS。人に伝わる内側にあるものの違いに期待する人にはお勧めだが、価値観やフィーリングにおいて別なものを持つ人であれば、理解しにくいグレードになってしまうかもしれない。

レポート髙橋明/Akira Takahashi

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