もしもあなたのマンションが被災したら?逃れられない「3つの選択肢」

 

そこで、究極の選択というワークショップをやってみました。主要構造部の破損が大きいが、修復は可能だったとして、

  1. 修復する
  2. 解体し清算する
  3. 建替える

の3つの選択肢を、負担金額、仮住まい期間等も含め具体的に示し、どれを選択するかを話し合いました。その中で、費用負担の金額と仮住まい期間の長さから、建替えは難しいというのが共通の意見でした。

で、修復するか、解体し清算するかは、2つにわかれました。

高齢の方は、もうそうなったら、多少の清算金をもらって施設に入る、修復のためにまとまったお金を出すのも、工事期間の仮住まいもしたくない…という考え方で一致していました。たぶん、ローンも残っていないのでしょうから、それも無理からぬ選択です。

一方、まだ現役の世代は、修復するという選択をした方がほとんどでした。家族が住むところは絶対に必要ですが、二重でローンを組んで新しいマンションを購入することは難しいからとかなり具体的な話が交わされていました。

で、せっかく修復しても、被災マンションであるというレッテルが張られ市場で認められないのでは…ということについては、ある方が、被災したのに合意形成がしっかりできて立派によみがえったマンションと市場で言われるように頑張る…と。

すばらしい前向きの発言が参加者から出たのですから大成功です。

今回、しっかりワークショップを行ったことで、被災後の具体的なイメージができ、建替えは難しいという思いを共有できました。そして、修復するか、壊して清算するかは、年齢や、仮住まい、費用負担ができるかによって意見が異なることが、がわかりました。

今からそれを意識していれば、備えることができます。いざというときのためにお金が重要だから、積み立てておかなくては…というような具体的な対策についても思いが至ったようです。

さらに、建て替えが難しいということは、被災した場合に限らず、老朽化した場合でも同じだということ…だったら、いつまでこのマンションをもたせるかということも考えてみなければ…その上で、しっかり維持管理していかなければならない…と。私が意図した以上に、参加者に気づきがあり、ほんとうによかったと思いました。

今回のワークショップがうまくいったのには、2つの理由があると思います。

1つは、日頃から、マンションについて考えている参加者が多かったことです。

もう1つは、同じマンションの住人によるワークショップだったということです。いろいろなマンションの方が集まっている中でのワークショップは、それぞれが自分のマンションをイメージしますから、人の話を「自分ごと」として捉えにくいのです。今回は、みんなが自分のマンションのこととして共通の認識で臨めたのでいい成果が出ました。

こうやって、マンション内でワークショップをしてみるのは、本当に大事だと思います。ただ、勉強しただけでは、あまり意味がないのです。「自分ごと」としてどこまで具体的にイメージできるかが将来を考える場合の最も重要なポイントになります。

ぜひ、ワークショップやってみませんか。最悪を想定という荒療治もなかなかよかったですよ!

image by: Shutterstock.com

 

まんしょんオタクのマンションこぼれ話
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