本当のところ、寝酒はカラダに良い?悪い?

2016.03.01
by Mocosuku
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寝酒は欧米では「ナイトキャップ」と言われ、習慣となっている人が少なくありません。

確かに、多くの方がお酒を飲むと眠くなる、寝つきが良くなるという経験をしたことがあるでしょう。一方で、夜中に目が覚めた、早朝に起きてしまった、熟睡できなかった、疲れが残っていた、という経験もあるのではないでしょうか。

お酒と睡眠の関係から、寝酒の良し悪しを考えてみましょう。

お酒が睡眠に与える影響とは

アルコールには脳の興奮を鎮める作用があり、身体がリラックスし、寝入りをよくする効果もあると言われています。

一方で、悪影響もあるのです。アルコールの分解には3時間ほど時間がかかります。その間、分解によって発生する「アセトアルデヒド」という物質が、交感神経(活動するために働く自律神経)を刺激し、体温や脈拍が上昇し、身体を覚醒させてしまいます。

また、眠りのリズムにも悪影響を及ぼします。通常、入眠後、まず深い眠りが起こります。これを、ノンレム睡眠と言います。次に、浅い眠りのレム睡眠へと移ります。この2種類の眠りがひと晩に4~5回繰り返されます。

アセトアルデヒドは、深い眠りのノンレム睡眠を阻害してしまいます。その結果、浅いレム睡眠が長く続き、目が覚めやすくなったり、熟睡したと感じられないことにつながります。

さらに、お酒には利尿作用があるため、トイレに行くために起きてしまうことも。

少量なら良い?

良い影響もあることから、「少量なら寝入りを良くするために寝酒はいいのでは」という意見もあります。

ただ、アルコールは耐性ができやすく、はじめは少量でいい効果を感じられていても、段々と同じ量では効果が感じられなくなります。

そうして少しずつ量が増えてしまい、ある程度の量を飲まなければ眠れなくなってしまうと、睡眠の質への悪影響が出るだけでなく、肝臓などの臓器に障害が起こったり、アルコール依存症をひき起こす危険性が高まります。

総合的に考えると、寝酒は寝入りを良くするというメリットよりも、睡眠の質を悪くさせたり、健康を害する危険があるなど、デメリットの方が大きくなると言えます。つまり、「寝酒の習慣はカラダに良くない」ということです。

お酒を楽しむことは悪いことではありません。ただし、眠れないからお酒に頼ることはやめましょう。眠れずに困るときには、眠れない理由を解決することが優先です。規則正しい生活ができているか、過度なストレスがかかっていないかなど、日常生活を振り返り、改善できることを実践してみましょう。

執筆:山本 ともよ(管理栄養士)
監修:坂本 忍

 

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記事提供:Mocosuku

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