中国政府がまた著名人アカウントを閉鎖。異様な言論統制が続くワケ

 

習近平は、これまで多くの政敵を腐敗という名目で抹殺してきました。そのために、共産党内にも疑心暗鬼の空気が広がり、互いに不信感が増大してきています。このままでは孤立無援の裸の王様となる可能性もあり、党内と国内の引き締めを強化したところで、どこまで耐えられるのか、我慢くらべといった様相です。

中国共産党の強権政治をずっと支えてきたのは「両桿子」(2つの手)と言われています。それは、「軍桿子」(軍隊筆桿子」(マスメディア)の両者。この2つを統制するということは、共産党人民解放軍と情報統制によって権力を維持することを意味します。

そして、習近平はもっぱらこの2つを意識して、出る杭を打ってきました。とはいえ、軍にしてもマスコミにしても一方的に叩くばかりで、とてもうまく操っているとは言えない状況です。

もともと習近平は、中国でも「野暮だ」「アホだ」という人物評を得ていました。博士号を取得した経歴についても、学歴詐称だとか、秘書が代筆したなどとの噂があるほどです。上海閥が習近平を抜擢したのも、無能であるがゆえに、表舞台に立たせる操り人形として利用するのにちょうどいいから、とも言われています。つまり「神輿は軽くてパーがいい」ということです。

そのため、正式な場では側近の原稿がないと発言できない、原稿があっても、その通りに暗記できず間違えて発言してしまう、などの下馬評が常につきまとっています。

格差の拡大は「資本主義社会の原理」だとも言えます。そして、その洗礼は日米欧だけでなく、ソ連解体後のロシアも受けました。

ロシアでは、格差の拡大で貧しい民衆の不満が広がったときに登場したのが、KGB出身のプーチンです。プーチンは巨富を得た成金たちをすべてつぶしてくれる「救国の英雄」として、ロシアの貧民たちから絶大な人気を得たのでした。

かつて、ドイツでヒトラーが熱狂的に支持されたのも、わずか1年ほどで600万人の失業問題を一挙に解決したからです。

中国でも、重慶市の薄煕来が一時、「唱紅打黒」(革命歌を歌い汚職追放)として富裕層を攻撃したことで庶民の人気を得ましたが、政治闘争に負けて獄中の人となってしまいました。

そんな現在、中国では毛沢東が再び人気になっています。毛沢東の時代の中国は貧しかったですが、毛沢東は資産家階級である地主を皆殺しにしたため、誰もが貧しいけれど、格差は小さかったのです。

習近平はプーチンや毛沢東にもなりきれず、その行き先は不透明です。そういう意味では、台湾の馬英九元総統にも似て、すべてが裏目に出るタイプです。じっさい、国家主席に就任後、経済は急速に崩壊し、台湾でも香港でも反中意識が拡大し、アメリカのアジア回帰をもたらし、北朝鮮にもメンツを潰されてばかりです。

いずれも習近平の身から出た錆です。習近平は党内に「◯◯小組」という委員会のようなものをいくつも立ち上げ、自らがその委員長に就任することで、軍事や経済、インターネットの統制や治安問題まで、あらゆる分野における権力をすべて自身に集中させていますが、それでありながら、まったく成果が出せないでいます。

結局は、失政を隠すために国内の言論を統制するしか手がなくなっているというのが現状であり、すべては習近平自身の無策ぶりに原因があるのです。

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image by: Wikimedia Commons

 

黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋

著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
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