遂に厚労省も目を光らせた、ブラック企業の固定残業代制度

 

通常、固定残業代制度のメリットとして、「賃金計算等の事務作業の負担軽減」などが挙げられますが、こんなメリット、全くありません! だって、今述べたように、従業員の残業時間(労働時間)をしっかり把握しなければいけないのですから! ちゃんと残業代(残業時間)を計算しなければなりません。

そして、その残業代が固定残業代よりも低くても、固定残業代を支給しなければならないのです。まったくの余計な支出です。このような制度を採用することに、合理性がありますか?

ですから、固定残業代制を採用しようなんて企業は、ブラック企業であると思われても仕方がありません。実際、多くのブラック企業が、この制度を悪用して、違法に残業代の支払いを逃れ、従業員を長時間労働で苦しめた挙句に使い捨てているのです。

この固定残業代制の悪用については、厚労省も問題視しているようで、固定残業代制を採用している企業のハローワークの新卒者向け求人に対して、次の1~3を、「募集時」に明示することを義務付けました。

  1. 固定残業代に係る計算方法
  2. 固定残業代を除外した基本給の額
  3. 固定残業時間を超える時間外労働等の場合、割増賃金を追加で支払うことの明示

以上のことを守らなければ、求人を受理してくれません。

厚労省も、ブラック企業対策の1つとして、この固定残業代制度に目をつけたのです。これからますます、固定残業代制度を採用している企業には、ブラック企業ではないかという「疑いの目」が向けられるでしょう。

御社でもし、固定残業代制を採用しているのなら、今すぐ止めるべきです。固定残業代制度があっては、優秀な人材を集めることが不可能となってしまいます。悪評判も立ちやすくなります。御社にとって、いい事など全くありません。

以上を踏まえて、あらためてお聞きします。

「御社では、固定残業代制を採用していますか?」

image by: Shutterstock

 

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