「ビルの地下にいる」との情報も。安田純平氏の動画を各紙はどう報じたか

 

【東京】ヌスラ戦線の苦境と安田さんの状況

【東京】は2面の解説記事「核心」と28面。見出しは次の通り。

劣勢組織 資金調達狙う?
シリアで不明「安田さん」映像
ヌスラ戦線 停戦対象外 追い詰められ
無事祈り 解放探る
仲間が武装組織へ働き掛け

2面の解説記事では、誘拐した側のヌスラ戦線の現在の状態について詳しく書いている。「軍事的には劣勢で、安田さんは資金調達のための身代金ビジネスに利用されたとみられる」としている。ロンドンのシリア人権監視団の所長によれば、「ヌスラ戦線は外国人ジャーナリストを標的にしていないが、偶然発見すれば金銭を目的に拉致する」という。

ヌスラ戦線はISとともにテロ組織として停戦の対象外になり、特にロシアに激しい空爆を加えられてきたことで、徐々に追い詰められているとの見方があると。

28面社会面の記事は、救出しようという動きについて書いている。

ジャーナリストの藤原亮司さんは今年1月、武装勢力の仲介人とトルコで接触。仲介人は安田さんについて「一時は体調を崩したが今は大丈夫。解放は身代金を支払うことが条件」と話したという。安田さんが書いたという住所を記したメモを見せられ、シリア国内のビルの地下にいると説明。「体調は今は大丈夫。ただ、精神的にまいっている」と話したという。ジャーナリストの常岡浩介さんは安田さんの解放を働き掛けるために日本を発ち、17日、アブダビに入った。さらに綿井健陽さんは、ヌスラ戦線は「シリア内戦のこの5年間で、外国人を拘束しているが殺害はしていない。だが楽観はできない」と語っている。

uttiiの眼

《東京》は、まずヌスラ戦線は対立する武装組織の兵士は拉致して殺害するが、戦闘相手ではない外国人拘束者を処刑する映像や画像を公開した例はないとして、ISとの微妙な差を記す。

28面の記事で紹介された藤原亮司さんの話は、今、安田さんについて知り得るもっとも具体的で詳細な情報と思われる。相手側が伝えてきたものだから、そのまま信じるわけにもいかないが、なんとか身代金交渉を始めたいという相手の意図が見えてくる。

image by: Facebook(tarik abdul hak)

 

uttiiの電子版ウォッチ』2016/3/18号より一部抜粋

著者/内田誠(ジャーナリスト)
朝日、読売、毎日、東京の各紙朝刊(電子版)を比較し、一面を中心に隠されたラインを読み解きます。月曜日から金曜日までは可能な限り早く、土曜日は夜までにその週のまとめをお届け。これさえ読んでおけば「偏向報道」に惑わされずに済みます。
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