中国公船がまた体当たり。高速鉄道でも騙されたインドネシアが大激怒

 

そもそも南洋の国々のなかで、インドシナ半島の南越と海のインドネシアはもっとも代表的な反華国家です。東南アジアの国々の独立・解放運動は、西洋人に対して行われたというよりも、西欧列強による植民地支配の番頭役だった華人、華僑に対して行われたという性格が強かったのです。だからインドネシアの独立運動は、反オランダよりも反華僑からスタートしています。そのため南シナ海問題では中立的な立場で静観していたものの、自国に被害が及ぶとなると、反華感情に火がつきやすいのです。

インドネシアは独立建国後、激越な反華排華運動を行い、国民が華僑商店を襲撃するだけでなく、漢字の書籍の国内持ち込みまで禁止していました。私の大学時代の学友はインドネシアで工場を経営していましたが、日本の書籍を持ち込もうとして、よく税関と一悶着を起こしていました。日本語に漢字が入っているので、若い税関員には区別がつかず、トラブルが多かったのです。

台湾漁船もインドネシア海域に近づく際、「中国船ではない」と大げさにアピールするようにしています。そうしないと、中国船だと思われて、インドネシア海上警備船に連行されてしまうからです。

インドネシア海域でのインドネシアと中国との衝突は歴史が古く、民族の対立でもあります。古代の南洋の海はマレー・ポリネシア人の海でした。その後、支那海賊船が出没するようになりましたが、フランキ人(ポルトガルをはじめとする西洋人)がこの海域に乗り出して支那海賊船を退治するようになり、そして明の時代から「マカオ」(澳門)という中継貿易地を得ることとなりました。

こうした海域の歴史を知ることも、現在のインドネシアと中国とのトラブルの根源を知ることに繋がります。

それはさておき、中国の態度に不信感を募らせたのか、日本から中国が奪った高速鉄道事業について、インドネシア政府は地震対策を強化するように要請、改善がなければ認可しない姿勢を見せ、さらには計画が頓挫してもインドネシア政府による救済はないことを求めています。

中国の合弁会社側に「改善なければ認可せず」耐震強化を要求 インドネシア政府

さらに全長142キロについて、現在までで建設認可が下りたのはたったの5キロまでで、残りは上記のような地震対策が求められている状況ですし、用地買収のめども立っていないということです。これで本当に2019年に完工できるのでしょうか。

中国ようやく5キロ区間だけ建設許可 受注のインドネシア高速鉄道 残る区間なお買収めど立たず

print
いま読まれてます

  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け