視野が狭すぎる友人には忠告すべき?作家・石田衣良がズバリ回答

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石田衣良さんが親切にお悩みに答えてくれるメルマガ『石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」』。今回は視野が狭い発言の多い友人との接し方です。視野が狭い、考えが浅い、そんな友人にはそれを教えるべきなのでしょうか? 石田さんの回答とは?  

視野の狭い友人には、教えてあげるべき?

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友達と話していると「視野が狭いな、自分しか見えてないな」と思うことが多々あります。そういうときは教えてあげるべきなのでしょうか? それとも、それも個性だと思って受け流すべきでしょうか? 

 

石田衣良さんの回答

これは難しいよね。ただ、そうやって視野が狭くて、単純な人の中にも「あれ、こいつは何かセンスあるな」っていう人がいるじゃないですか。そういう人に関しては、それとなく言ってあげたほうがいいと思います。「もっといろんな考え方もあるんじゃないかな」って。

実際、ぼくたちが考えているよりはるかに低いレベルで視野が狭い人ってたくさんいるじゃないですか。そういう人たちに関しては、正直言ってあんまり手助けもしてあげられないんだよね。言葉が通じないので。日本語だから同じことをしゃべっているって思うかもしれないけれど、全く理解されないんですよ。でも「あれ、この子は可能性があるし、センスがいいんじゃない?」っていう人に関してはちょっと助言してあげたほうがいいような気がするな。

例えばぼくが付き合うのって、社会の上澄みの人ばっかりなんだよね。みんな出来がいいんだよ。出版社にしろ、その他メディアの仕事をしている人にしろ、基本的には論理が通じる人ばかりだよね。例えばヘイトスピーチをしたり、ヤンキーだったり、極右の人とは会わないですし。だから、そのへんは難しいんだけどね。

これは本当に厳しい言い方になるけれど、今の世界は社会の下から半分の人とはなかなか同じ言葉でしゃべれなくなっていますね。それが格差社会ということだと思いますし、全世界的にそうなっています。格差社会は経済だけでなく知性や知識の格差でもあるので。なので、トランプみたいなおじいさんが人気者になるんだよね。「イスラム教徒はすべて国外に放り出せ」とか「メキシコとの間に万里の長城を作れ」という過激なことを言って、支持を受けていますけど、演説をきちんと聞くと、社会性のないもうろくじじいだなと分かりますよ。実際の政治は全然できない人です。

でも、「あ、こいつちょっといいかも」っていう人は伸びる可能性があるので、助け舟を出してあげたらいいかもしれないですね。そのうえで、あなたもちゃんといろいろ勉強しないと駄目だよ。世の中は本当にわけがわからないぐらい複雑なところがあるので。なぜか知らないけれどダメな人ほど「世界は単純だ」って言いたがるんだよね。切り捨てたがるんですよ。自分の価値観にあまり疑いを持たないので。なので、その価値観を揺るがす機会を与えてあげるっていうのはいいかもしれないですね。

source: 石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」

image by: Shutterstock

 

石田衣良石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」
著者:石田衣良
本と創作の話、時代や社会の問題、恋や性の謎、プライベートの親密な相談……。
ぼくがおもしろいと感じるすべてを投げこめるネットの個人誌です。小説ありエッセイありトークありおまけに動画も配信。週末のリラックスタイムをひとりの小説家と過ごしてみませんか?メールお待ちしています。
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