中国経済の失速がついに飛び火。日本でもチャイナリスク倒産が急増中

 

改革行き過ぎると社会不安へ?

こうした数字を並べてみると、明らかに中国経済のバブルは崩壊し、東南アジアやヨーロッパ、日本の輸出、景気を支えていた中国頼りが心もとなくなっていることがわかる。GDPの成長率も実態はもっと悪く、3~4%程度だろうと言われているほどだ。

かと言って中国があまりに構造改革や腐敗撲滅、陸軍のリストラなどに走ると、ますます社会が沈滞化する恐れもあり今後の手綱のさばき具合が難しそうだ。今、中国が力を入れているのは首脳の海外訪問によるインフラの売り込みや企業の進出輸出入の拡大である。昨年暮、習主席はアフリカ約50カ国の首脳とフォーラムを開き、今後3年間で総額約600億ドル(7兆2,000億円)の支援を表明、すでにアフリカに進出している中国企業3,000社、100万人の移住者を支援、アフリカ諸国と結ぶ直行便航路を10路線以上に拡大しつつある。

また今年1月には、習主席がサウジアラビア、エジプト、イランなど中東有力国を歴訪、アメリカが引き上げた後の存在感を示そうとしているようで、6.3兆円の支援も表明した。さらに欧州企業との接触も深め、2015年以降、約10件の企業買収、知財・ブランドの獲得にも動いている。

日本にも不況の影響が……

しかし今後の焦点は、やはり何といっても供給過剰となっている企業の清算や競争力を失った国有企業、重厚長大産業の合理化と、合理化による失業の増大とのバランスをどうとるか、ということだろう。これを一歩間違えると社会不安、動乱、はてには共産党一党独裁の危機にもつながるからだ。

すでに中国の不況は日本企業にも影響を及ぼし始めている。東京商工リサーチの調べによると、2015年度のチャイナリスク関連倒産は2月までに80件、2,349億円、件数は前年同期より約7割多い。負債額は約10倍で、全国倒産企業の負債額全体の約13%にあたるという(2014年度は1%強)。チャイナリスクは日本企業に人件費などのコスト高、中国のバブル崩壊と景気減速、生産過剰による過剰在庫品の対日輸出品増などとなって表れている。当分、といってもここ1~2年は中国の経済動向に要注意だろう。

(TSR情報 2016年3月25日)

 

 

ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」
ジャーナリスト嶌信彦が政治、経済などの時流の話題や取材日記をコラムとして発信。会長を務めるNPO法人日本ウズベキスタン協会やウズベキスタンの話題もお届けします。
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