中国経済の失速がついに飛び火。日本でもチャイナリスク倒産が急増中

 

供給過剰と構造改革

こうした投資とは別に、中国の大きな経済問題は供給過剰によるデフレ経済にあるとも言われているため、経済の構造改革を進めることも宣言している。特に、鉄鋼と石炭があげられ、鉄は5年で1~1.5億トン(日本の生産高は年1億トン)減らすほか、石炭は3年で5億トン減にするという。このほかに、造船、セメントも過剰とされているが、一挙に重厚長大産業の構造改革を進めると失業増大・社会不安につながるとみたのか、セメントや造船の減産目標値はあげていない。

さらに、習政権の人気の秘密は反腐敗運動にあったことがはっきりしているが、2015年の100万元(1,750万円)を超えた汚職は前年比22.5%増の4,490件に上ったと報告されている。このうち各省のトップや閣僚級の立件は41人(前年は28人)、公務員の摘発は前年比1.5%減の5万4,249人にのぼるとされ、今後は、国営企業の腐敗構造改革に取り組み国民の支持を取り付ける方針のようだ。

陸軍30万人削減、海洋強国目指す

他方、安保外交面では「陸から空海へ」の大方針の下で陸軍の30万人削減などと、空軍・海軍・サイバーの強化を目指し、特に太平洋進出を念頭に入れた「海洋強国」をうたっている。陸軍については、これまであった軍区を改編し15軍区に仕切り直す。また、国防予算は相変わらず増大させており、2016年は前年比7.6%増の16兆7,000億円(ちなみに日本は5兆円)、アジア各国の軍予算総額の4割にあたるとされている。しかもこれらには、研究開発費や兵器の輸入費は含まれていないと言われるので、実態は2倍になると見られる。

実態経済は回復見えず

問題は実態経済の実情だろう。まず、ここ数年バブル化していた不動産投資は2013年の19.8%の伸びから2014年は10.5%に減り、2015年1.5%まで縮小した。完全に土地投資のバブルは終焉したとみてよかろう。

一方、株価もピークの2015年6月から8カ月で約5割下落、株のバブルも終わったようだ。さらに消費の伸び率も1.3ポイントにとどまり、中国製品の人気は上がっていない。その分、海外、特に日本への旅行客が増え「爆買い」現象が続いている。考えてみると、中国には欧米や日本にあるような国を代表するブランド商品がないことも、国内消費の伸びが高まらない原因かもしれない。

人民元は1年で約5%元安(対ドル)となり、これは輸出振興のための元安誘導かと言われたが、2015年の輸出は前年比2.5%減、輸入は14.1%減という状況で、2016年も回復していない。財政赤字は2014年が2.1%、2015年が3.5%だったが、今後も中国の景気回復を財政で支える必要があるため、まだ赤字は増え続ける見込みだ。

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