【書評】孫正義と松下幸之助は「価格」より何に注目して投資したのか

 

さっそく、中身を見ていきましょう。

大阪に市電と言いますか、路面電車ができた。それを見てこれからは「電気の時代」と思いました(松下幸之助)

ニッチを狙え、という人はバカ。私は30年後のど真ん中のど真ん中を狙った(孫正義)

「いまは、すき間、ニッチでも、最大の産業になる業界と、最後まですき間で終わる産業があるわけです。僕は、自分の人生を最後まですき間で終わるような業界に殉じるつもりはない」。孫正義はあらゆる産業の将来の規模を、政府刊行物センターで白書や報告書をかき集めて調べた。そして自動車産業、食品業界、医療産業など、数多くの産業のなかで、30年後に情報産業が最大の産業になると予測した

本当の政治家は100年先、200年先を考える(松下幸之助)

迷ったときほど遠くを見よ(孫正義)

2008年頃にスマートフォンの時代が来る

 

孫正義は引き算方式で考えた。これでは2008年頃から始まる、スマートフォン革命に間に合わない。「時間を買わなくては」そう考えた孫正義は2006年3月、リスクがある第3の道を選択し、ボーダフォン日本法人を約2兆円で買収する

人々に理念の目標と理想を提示できない指導者は、指導者を名乗る資格はない(松下幸之助)

10年以内にNTTドコモさんを抜きます(孫正義)

「勝つか負けるかわからんというときには、しなかったらいいのや。勝つかもわからん、負けるかもわからん、やってみないとわからんという人がいる。僕はそんな頼りないことで勝負はようやらん」(松下幸之助)

大戦を始める前に、小さな戦いで勝利し、味方の士気を高めるというのは兵法の基本である

買収当時、営業利益がどんどん下がっていたボーダフォン日本法人は、「あと1年待てばさらに安くなるのでは」という意見もあった。しかし、安く買うのが目的ではない。もう1年待つと、モバイルインターネットの夜明けである2008年頃に間に合わない。値段よりもタイミングをとって、孫正義は決断したのだ

「三」の退却戦を行なう勇気こそが、「七」の勝利を下支えする(孫正義)

われわれは投資をする際、つい「価格」を見てしまいがちですが、2人の偉大な経営者は、「目的」と「機会」に着目して投資しているのがよくわかります。

ほかにも、大胆に大風呂敷を広げる方法や、人を得る方法、逆境を乗り越える考え方や撤退の方法など、多くのヒントが得られました。

ありがちなコンセプトの本ではありますが、言葉の力と生のエピソードの魅力に、すっかりやられました。これはおすすめの1冊です。

image by:  Shutterstock

 

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著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
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