【熊本地震】台湾から届く励ましの声。変わらぬ日台「友好の絆」

 

「台湾を身近に感じている」日本人が大幅増

台湾国民のこうした真情は、ネットやマスコミを通じて、日本国民の心に届いていった。東京港区にある台北駐日経済文化代表処には、感謝のメールや電話が絶えないという。

また台北駐日経済文化代表処が5月に行った、日本国民の台湾へのイメージ調査では、約67%が台湾を身近に感じている」と答え、2年前の調査に比べ約11ポイントも増えていたことが分かった。

日台関係について、「どちらかといえば良い」(約72%)と「非常に良い」(約19%)を合わせて9割以上を占め、平成21(2009)年の調査に比べ約15ポイント増えた。

さらに台湾への信頼度も、「多少は信頼」(64%)「非常に信頼」(20%)と、合計で約20ポイントも上昇した。

「身近に感じている」「信頼している」というのは、麻生元総理の言う「心と心のつながり」である。

東日本大震災で心の籠もった支援をしてくれた台湾に対して、日本国民は李登輝元総統の言う「困難な時にこそ人の情けを知る」ことができたのである。

「『忍ぶ恋』の時代は終わった」

「『忍ぶ恋』の時代は終わった。もう堂々と恋文を出せる関係だ」

こう挨拶して、会場を湧かせたのは「日台民間投資取り決め」締結を祝して2011年9月23日に開かれたレセプションでの台湾側の交渉窓口・彭栄次氏だった。

「内国民待遇」「最恵国待遇」などを柱とする投資取り決めの締結で、これで日台の相互投資や、日台企業の連携が促進される。貿易額では台湾は日本にとって第4、日本は台湾にとって第2の貿易相手だが、今後はさらに発展していくだろう。

形としては民間の取り決めだが、「実質的な2国間投資協定」(政府筋)である。麻生政権時代に検討が始まり、民主党政権でも前原誠司・前外相が熱心だった。その下で外交当局は地道に努力を続けていた。

日本の外交筋は「今回の取り決めに対し中国は反発するだろうが覚悟している。中国に事前通告する考えはない」と語った。我が国の外交筋から、こんな頼もしい言葉を聞くのは久しぶりだ。

彭栄次氏は「東日本大震災に台湾が寄せた巨額の義援金の前では、2人の間柄に誰も文句がつけられなくなった」という。大震災で深まった日台両国民の心の絆が政治を動かしたと言えよう。

文責:伊勢雅臣

image by: Wikimedia Commons

 

Japan on the Globe-国際派日本人養成講座
著者/伊勢雅臣
購読者数4万3千人、創刊18年のメールマガジン『Japan On the Globe 国際派日本人養成講座』発行者。国際社会で日本を背負って活躍できる人材の育成を目指す。
≪登録はこちら≫

print
いま読まれてます

  • 【熊本地震】台湾から届く励ましの声。変わらぬ日台「友好の絆」
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け