社員の同業他社への転職を、企業が阻止することなどできるのか?

 

・条件1:就業規則に、競業避止義務が明確に定められていること。
・条件2:守るべき企業の利益や秘密があること。

さらに、(条件3)~(条件6)を総合的に評価して判断します。

・条件3)制限期間
競業行為の禁止期間が短期6ヶ月程度)であれば問題ありません。ただし、1年や2年の禁止期間では、他の条件をクリアしているかによって、有効だったり無効だったりします。それ以上長期の禁止期間を設けても、無効となる可能性が大きい。

・条件4:秘密性の程度・禁止対象者の範囲
全従業員を対象にした競業避止義務は無効となります。「機密性の高い情報に係わるもの」と「役員だけを対象としなくてはなりません。一般従業員に対して競業避止義務を課すのは、ちょっと無理があるかな…。

・条件5:代償措置の有無
当然、代償措置があったほうが有効とされやすいし、従業員の納得も得やすいでしょう。代償措置としては、退職金の上乗せや在職中に高給で優遇することなどが考えられます。

・条件6:職種・地域限定の有無
地域の限定を行うべきです。御社の営業範囲と同程度の範囲に地域限定して、就業制限を行うべきです。裁判では、「地域限定なし・職種限定なしの競業避止義務が無効とされています。

以上、(条件3)~(条件6)を総合的に評価して判断します。もし、競業避止義務に関する誓約書にサインをしていても上記要件を満たさなければその誓約書自体が無効となります。

また、顧客を奪う行為、従業員の大量引き抜き行為、秘密情報の盗用行為等を行った従業員に対して、会社は損害賠償請求することができます。これらの行為は、たとえ就業規則に定めがなくても、「社会的相当性の著しい逸脱として不法行為となります。

以上を踏まえて、あらためて忠告します。

「注意! 競業避止義務を課すには条件があります。」

image by: Shutterstock

 

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