外交は、「官邸主導」
二番目は、「外務省が政治家に言わせている」という部分。外務省はいろいろ批判されていますが、外交の「大きな流れ」を決めてるのは、「総理」と「側近たち」だと思います。なぜそう思うかというと、総理大臣がかわると、外交もがらりと変わるから。
たとえば90年代、日本は概して、アメリカ、中国、ロシアのバランスをとりながら外交をしていました。なぜでしょうか?
91年、ソ連が崩壊し、アメリカが世界唯一の超大国になった。すると、アメリカは、「日本バッシング」を始めたのです。「日本異質論者」を前面に出しながら、日本経済潰しを熱心にしていた。日本としても、ソ連がなくなり「日米安保」の重要性が薄れた。それで、相対的に中国、ロシアとの関係が改善されていたのです。
しかし、小泉さんが総理になると、「アメリカ一辺倒外交」になった。それで、中国、ロシアとの関係は破壊された。
鳩山さんが総理になると、またガラリと外交が変わりました。鳩山さんは、アメリカとの関係を悪化させ、中国との関係を最重視した。小沢さんの、「私は人民解放軍の野戦軍司令官である!」発言は、忘れようとしても決して忘れられません。
というわけで、日本外交の大きな方向性を決めているのは、やはり「官邸」だと思います。もちろん、総理が、「親米派」(あるいは従米派)なのか、「親中派」(あるいは従中派)なのかで、大きく変わります。ですから、「外国」(主に米中)が外交に与える影響も相当大きいのです。
なぜ国益にあう政策ができないのか?
最後に、「なぜ国益にあう政策ができないのか?」について。これ、いろいろ理由があると思います。
まず、「国益にあう政策」について、意見が統一されていない。たとえば、
- 消費税増税派、延期派、増税完全中止派、国益にあうのはどれ? (私は、増税完全中止派です)
- 3K移民の大量受け入れは、仕方ない派、反対派、国益にあうのはどっち? (私は、3K移民大量受け入れ反対派です。)
- 外交は、親米派、親中派、自立派、国益にあうのは?
などなど、ひとつの問題をとってみても、さまざまな意見があり、皆「俺の主張が国益にあっている!」という。だから、フラフラフラフラするのですね。
皆さん、「何が善なのか、悪なのか」「まったく基準をもたない人」の人生を想像してみてください。難破船のように漂流し、言うこともコロコロ変わることでしょう。今の日本は、そういう状態だということです。なにが「国益」なのか、わからない。
もう一つ、やはり外国、主にアメリカと中国の影響が大きいのでしょう。総理が、何か日本のためになる政策をしようとする。すると、アメリカから圧力がかかり、やめさせられる。あるいは、日本の国益に合致しないことを、やらされる。そういうのがあることは、皆さんご存知のとおりです。「え~、そうなの?」という方は、『アメリカに潰された政治家たち(孫崎享)』をご一読ください。