抜きん出るバブル絶頂期の時価総額
1989年、バブルの絶頂期の3月末の時価総額ランキングでは上位15社中、12社が日本企業。30位までの表をみると1位はNTT、モノづくりの会社では11位トヨタ、13位新日鉄、15位松下(現パナソニック)、17位日立、25位三菱重工、27位東芝、金融も多数入っている(参考資料:89年5月8日号 日経ビジネス)。
様変わりした世界
それに対して、2016年4月末時点の世界企業の時価総額ランキングの30社の中には日本企業は入っていない。以下のランキングをみてわかるように、この20年ほどでIT関連企業が伸びているということがわかる。主な順位は以下の通り(参考資料:世界時価総額ランキング)。
1位:アップル
2位:アルファベット(googleの持ち株会社)
3位:マイクロソフト
4位:エクソンモービル
5位:バークシャー・ハサウェイ(世界最大の投資会社)
6位:フェイスブック
7位:アマゾン
8位:ジョンソン&ジョンソン
………
33位:トヨタ(日本企業最上位)
なぜこの20年ほどで日本は様変わりしたかというと、1つはバブルの崩壊で手一杯という要因が非常に大きい。それと同時に日本企業の大きな構造変化がある。次の時代を牽引する製品は何か、IT、バイオ、人工知能といった分野に気が付かなかったといえる。
欧米先進国にルールづくりでも敗北
なぜそうだったのかというと、経済摩擦と冷戦終結が主な要因であると思う。経済摩擦によって、さまざまなルールが変更された。例えば四半期ごとの開示の義務化や、土地や不動産などの含み資産を開示し株主に還元する時価会計主義などがある。それまでの日本の企業は利益を内部留保として保有し、中長期の投資に充当するなどして頑張ってきた。しかしながら、それが出来なくなったのである。
さらに、冷戦終結により、東西経済が融合。旧東欧、中国、インド、東南アジアなど安い労働力にのっとった新興国が台頭してきた。そこに技術移転が加わり、結局日本は元に戻れないという状況に陥った。
構造変化に気が付かず…
本当はこの失われた20年の間にこの構造変化に気が付き、新たなことに取り組んでいればよかったのだが、それが出来なかった。さらにその間、先に述べたように欧米先進国に有利なルールに変更されたり、新興国に追いつかれた。その結果イノベーションにも弱くなった。
アメリカは冷戦で不要になった宇宙防衛技術を民間に開放したことで、IT、スペース(宇宙)、バイオ、人工知能などのベンチャーが育ち、時価総額の上位を占めるまでの企業に成長した。