【京都】白砂と石の小宇宙。観る側の心を映す「枯山水」を観に行こう

 

枯山水庭園の仕組み

寺院によって多少違いはありますが、枯山水庭園の構成要素をいくつか詳しくご紹介しましょう。石の配置やその存在意義などを知っておくと、庭園の鑑賞をより深く楽むことが出来るようになります。

■手水鉢(ちょうずばち)

本来は神前や仏前で身を清めるための水を入れる器です。ただ、時代が下り茶の湯の発展と共に鑑賞を目的として使われるようになりました。

■白砂

砂紋によって水の流れなどが表現されています。かつては賀茂川上流の白川石が用いられていました。

■鶴島・亀島

昔から「鶴は千年、亀は万年」と言います。そのことから長寿を願って配置されている庭園が少なくありません。

亀島は亀の頭や足を石組みで表現しています。白砂の庭に石を一つだけ置いて、あたまや甲羅だけが水面から浮かんでいる様子を表現したものもあります。

鶴島は立石の左右に翼を表す羽石(はねいし)を持った構成になっていることが多いです。

■借景

庭園の外にある山や竹林など、自然風景を庭園の背景として一体化させた作庭技法です。京都では、東山、比叡山、嵐山などを借景とする庭園が数多くあります。特に後水尾天皇の幡枝(はたえだ)御所跡に建てられた円通寺の方丈正面の比叡山を借景に取り入れた庭園は絶景です。

■石組

神仙思想を象徴する蓬莱島(ほうらいじま)や、仏教思想を象徴する須弥山(しゅみせん)などを表現しています。庭園を構成するとても重要な要素です。仙人や仏が住む深山幽谷の趣を表します。

■三尊石組

三尊仏に見立てて、中央に立石(りっしゃく)を、両脇に小立石(しょうりっしゃく)を配した3個の石組をいいます。大きなお寺に行くと本堂などに真ん中に阿弥陀様が、その両脇に観音様が立っているのを見たことがあると思います。その様子を表したのがこの三尊石組です。

有名なところで言うと、南禅寺の塔頭金地院の霧島の庭の正面にこの石組があります。そして、金地院にはその真裏に徳川家康を祀る東照宮が建てられています。方丈から眺める三尊石組は間接的に家康公を拝むことが出来るよう配置されているのです。これは生前家康のブレーンとして活躍し黒衣の宰相と言われた金地院以心崇伝の粋な計らいだとされています。

■枯滝(かれたき)石組

立嶋模様の石によって流れ落ちる水を表現したり、角が取れた丸い石を敷き詰めて滝の下で渦巻く水を表現しています。

■燈籠(とうろう)

本来は社寺の参道を照らすものですが、茶の湯や庭園文化の発展と共に鑑賞を目的とする置物になりました。枯山水庭園に限らず様々な様式の庭園に設置されていてその種類も豊富です。

■船石・舟形石

船形の石を白砂に配して、深山幽谷へ向かう船を表しています。大徳寺の塔頭・大仙院の庭などにダイナミックに配された船石を観ることが出来ます。

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