隠蔽体質からの脱却。神戸市立校のいじめ件数が約11倍になったワケ

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このほど神戸市と仙台市のいじめ認知件数が発表されましたが、両市ともこれまでより大幅に増加したことが明らかになりました。「そんなに増えたのか」と思ってしまいがちですが、実は今まで「いじめと捉えていなかった事案」まで掘り下げたために得られた数字。無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』ではこの結果を「軽微なものも無視せずにいじめの把握に務めた」と高く評価するとともに、いじめ解決に向け、両市の教育委員会の姿勢を全国に浸透すべきと訴えています。

これはいじめですか?

6月2日、「神戸市立校のいじめ11倍に」との報道がなされました。2015年度の神戸市の市立小中学校、高校、特別支援学校のいじめの認知件数が3,412件に上り、2014年度の310件に比べ約11倍に急増したというものです。この数値は途中経過の認知件数ですので、最終値はさらに増える見込みです。神戸市教育委員会によると、文部科学省の積極的認知の指導もあり、2015年11~12月、認知方法を根本から見直すよう各校に求め、「従来いじめと捉えていなかった事案を含めた結果」ということです。

続いて6月7日には、仙台市のいじめ認知件数が報道されました。小中高校生約8万人を対象にした調査で、昨年4月から11月の8か月間のいじめ件数は1万4,160件でした。どちらの市教委も、軽微ないじめも無視せずに、いじめの把握に務めた結果です。

本来、いじめ認知件数の調査は、実態把握のために行われるものです。しかし、毎年発表されるいじめ認知件数は、都道府県間で大きな差が出ています。その時々の文科省からの方針によって変動するため、いじめの実態を捉えているとは言い難いのが現実です。昨年発表された全国のいじめ認知件数は18万8,057件です。前述の仙台市でいじめを受けた生徒は17.5%にあたっています。30人のクラスの中で5人もの子が、1年間でいじめを受けていたのです。この比率を全国に適用すれば、計算上は230万人もの子がいじめを受けたということになります。膨大な数字のように見えますが、地域差を考慮しても、全国で100万人以上の子供たちがいじめを受けていると推測されます。

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