悪魔のデータ。政府発表の「全国地震動予測地図」のデタラメぶり

 

地震学者としては、1970年代に自信満々にぶち上げた「地震予知」がハズレつづけ、阪神大震災の発生を目の当たりにして、何とか具体的な成果を挙げないと予算削減の憂き目を見ることが眼前に迫り、その焦りの中で「全国の地震発生確率を図表で示す」ことで「目に見える成果」をアピールしたかったんですね。

太平洋岸が真っ赤に塗られた「全国地震動予測地図」なる物は、「地震の発生確率を分かりやすく示す」ことが目的じゃなくて、「地震予知予算確保のために研究成果を分かりやすく示す」ことが目的なんです。メディアとしてすべきことは、この「予測図」なるものが如何に非科学的で、世の中を間違った方向に導く結果になったかを厳しく指摘して、従来の地震予知予算、地震対策費をより有効に使うよう訴える事でしょう。

それなのに大本営発表さながらに、この「オカルト地図」を、あたかも何か信頼性のあるもののように新聞一面に掲載するなんて、メディアとして自殺行為です。読売、産経、もうちょっとしっかりしましょうよ。

image by: Shutterstock

 

辛坊治郎メールマガジン』より一部抜粋

著者/辛坊治郎
「FACT FACT FACT」をキーワードに、テレビや新聞では様々な事情によりお伝えしきれなかった「真実」を皆様にお伝えします。その「真実」を元に、辛坊治郎独自の切り口で様々な物の見方を提示していきたいと考えています。
≪無料サンプルはこちら≫

print
いま読まれてます

  • 悪魔のデータ。政府発表の「全国地震動予測地図」のデタラメぶり
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け