悪魔のデータ。政府発表の「全国地震動予測地図」のデタラメぶり

 

熊本でそんなに古くない学生アパートが倒壊して、未来ある若者の命が奪われたのは何故か? それは「この地域の大地震発生確率は低い」という思い込みでアパートが設計され、手抜き工事が行われたからでしょう。もし「明日にも大地震が起きるかもしれない」と地域のみんなが考えていたら、あれほどの安普請のアパートは建っていなかったと思うんです。極論すれば、政府発表の「全国地震動予測地図」なるものが、若者の命を奪ったんです。この図が如何に「百害あって一利なし」か分かりますよね。

なぜこんな無意味、いや有害な「予測地図」なるものが公表され始めたのかというと、そこにあるのは、地震学者とそれを取り巻く官僚たちの利権です。私は何度かこのメールマガジンでも、地震予知研究に累計数千億円の税金が投入されて来た話を書きました。でもこの金額は「地震予知利権」のほんの入り口にしか過ぎません。

どういうことかというと、この「オカルトデータ」を元にして、東海地方をはじめ、東海・南海トラフ沿いの地域に莫大な地震対策費が付けられ、地震利権が強大な公共事業のエンジンになって来たんです。第二名神、今はこの名称使用が封じられて「新名神」って言わなくちゃいけないんですが、この高速道路網整備の大義は「東南海地震の際、既存の高速道路が壊れた時のバックアップ」でした。

私は必要な公共交通網の整備にはそんなに反対じゃありませんけど、それにしても「高い発生確率」を利用して太平洋沿岸地域にばかり莫大な公共事業費を投じてきたのは誤りでしょう。「既存の高速道路が壊れた場合のバックアップ」を想定するより、「既存の高速道路が壊れないように補強工事をする」ほうが合理的じゃないですか。

これら太平洋側の特定地域のみに莫大な公共事業費が投じられた結果、北海道奥尻島、中越、東日本、熊本、古くは阪神地域の大惨事に繋がったのは誰も否定できないと思うんですよね。「阪神高速道路倒壊に備えて、代替道路を建設する」よりも、「阪神高速道路が倒壊しないようにしておく」ことの方が必要だったのは、言うまでもありません。

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