資金不足が原因?日本の大学がランクダウンする理由
同じくTHE誌による「世界大学ランキング」においても、前年からその順位を大きく伸ばしたシンガポールの大学。
シンガポール国立大学は、2012年から14位ランクアップして昨年は第26位に。
また、シンガポール国立大学に次いでアジアの大学ランキング第2位にランクインした、同じくシンガポールの南洋理工大学 (NTU) も、2011年から何と119位アップして第55位となりました。
ちなみに東大は43位でした。
一方、今回のランキングでは、日本と中国もそれぞれ上位200位中39大学をランクインさせています。
しかし、中国がトップ100位内に22大学をランク入りさせ、うち2大学がトップ10位内であるのに比べ、日本は東大が第7位にランクインしたものの、それ以外の大学はすべて10位圏外となり、50位内に13大学がランクインしただけにとどまっています。
何だか日本はシンガポールにも中国にも先を越されているようですね。
アジア地域でどんどんランキングを伸ばしているシンガポール・中国に対し、低迷する日本の大学、この対照的な変化は一体何が原因なのでしょうか。
香港大学の教授であるGerard Postiglione氏は、「グローバル経済の中での競争を強く意識したシンガポール政府は、大学のレベルがその国のレベルを表すと考え、大学での研究に多額の投資をしていることがランキングに大きく影響している」と分析。
アジア圏以外の数々の一流大学との提携も、シンガポールの大学にとって大きなメリットだと語っています。
また、「日本のグローバル競争や国際化のための投資プログラムは、他国に比べて非常に小規模、消極的である」との声も。
今回のランキング結果について、国内では、さまざまな意見が飛び交っています。
東大がアジアの大学ランキングで1位から7位に転落し、日本の大学は軒並み下落だそうですが。資金が足りない面もあるでしょうが、お金を掛けず、すぐにできる改善策としては、お役所から要求される誰も読まない書類作成など事務を簡素化すること。その時間を研究に使いたい。事務経費の削減にもなる。
— 竹内健 (@kentakeuchi2003) 2016年6月21日
アジアの大学ランキングで、東大が首位から7位に転落。京大が9位から11位に、東北大も19位から23位に。上位100位以内の大学も去年より5校減って14校。国立から文系をなくすというような男が総理をやっているのだから、当然の結果。教育は国の根幹であり、これは非常に深刻である。
— 兵頭正俊 (@hyodo_masatoshi) 2016年6月21日
むしろ今まで1位だったんだ……という方にかなり驚いている。これからも予定通りに(予想通りに、ではない)順位を下げ続けることになるだろう。残念だけどもう致し方ない。
東大が首位転落、7位に アジア大学ランキング https://t.co/Jj1X3mDGqE
— 瀬川深@「SOY!大いなる豆の物語」 (@segawashin) 2016年6月21日
東大のアジアのランクがシンガポールや中国の諸大学に抜かれて7位ということだが、大学ランクは国力や国の研究レベルの比較指標にはなる。メディアの自由度の国際ランク72位など、政府も国民もどうでもいいと思ってるかもしれないが、これも国力と先進国度の指標だ。金融ランクも同様国力の指標だ。
— 柴山哲也(ジャーナリスト) (@shibayama_t) 2016年6月21日
東大がアジア大学ランキングで7位と聴いてびっくりしたのは「え、まだベスト10に残っていたの!」と思ったからでした。文科省が教育行政を仕切っている限り、日本のすべての大学がこの後もひたすらランクを下げ続けるのは自明です。大学にできるのはその落下速度を少しでも緩和するだけです。
— 内田樹 (@levinassien) 2016年6月21日
そのほかにも、「東大がランクダウンした判定基準がよくわからない」「それでも一番ノーベル賞受賞者が多いのは東大では?」、「他の大学に比べて日本の大学が見劣りするのは、授業が日本語で行われているため、海外からの人材を確保しにくいからだ」などの声も上がっています。
確かに、シンガポールはアジアにおける人種のるつぼであり、多国籍国家として近年目覚ましい急成長を遂げています。
国内外からのより優秀な人材を育てることが国の利益になるとすれば、国のレベルと大学のレベルが比例するという考えも納得できるような気がします。
では、日本政府がもっと大学に資金を提供し、名門大学の授業を英語で行うようにすれば、再び日本の大学が上位にランクインし、結果として日本の「国のレベル」が上がるのでしょうか?
多くの人種が共存する国と、そうでない日本。
何が国のレベルを決めるのか、そもそも「国のレベル」とは何なのか、日本の今後のために一度、客観的に比較して考えてみる必要がありそうですね。
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Source by: タイムズ・ハイアー・エデュケーション (THE)、HUFF POST
文/貞賀 三奈美