しぶとい中国市場。日本の「中国崩壊論」は、ただの「願望論」だった

 

さて、中国である。私のシンガポールの金融界の多くの友人たち(実績といい運用スケールといい日本では稀有な本当の金融のプロ中のプロである)は多くが中国政府の市場コントロール能力を信じているのが特徴的だ。欧米系もインド系も中国系も。彼らは市場のことを知り尽くすプロだが、中国政府の持つ人材とオプションとパワーを深く信頼している。つまり、彼らがCNBCやブルームバーグに出る時はレッセフェールを訴えるのだが、私と食事している時には彼らの「市場の危機には政府のコントロール能力が大事」とのホンネが出てくる。

私は中国市場はしぶといと思う。バブル崩壊で日本の二の舞とはならないだろう。それは彼らが20年以上かけて日本のバブルと崩壊直前直後の日本政府の対応をずっと分析してきたからだ。そしてリーダーシップのクォリティが違う。悔しいけどリーダーが選ばれ、競争させられ、訓練されている。私も中国のトップエリートと触れあうと彼らに対抗できる日本人は見当たらないと思ってしまうくらいだ。

日本の「中国崩壊願望」はみなおした方がいいと思う。中国が嫌いで、中国を敵視する人ほど中国をバカにしているのが残念だ。私は中国を本気で警戒するからこそ、なめてはいけないと思う。この30年中国を舐めてきた人たちは全部中国に負かされている。

来年の中国の経済成長予測は5.8~6.0%でこの25年で最低のものだが、14%成長していた2007年の中国の総GDPは今の半分以下のサイズだった。だからこのサイズ、日本の約3倍の大きさ、で6%成長する経済のインパクトを舐めてはいけない。

少なくとも各界リーダーはもっと中国を警戒して、リスクペクトを持ちながら、対応していくべきだと思う。これくらいの危機は軽く乗り越えるだろう。

『田村耕太郎の「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」』より一部抜粋

著者/田村耕太郎(前参議院議員)
早稲田大学、慶応大学大学院、デューク大学法律大学院、エール大学経済大学院を各修了。シンガポールを拠点に、歯に衣着せぬ鋭い論調で「日本の良い箇所・悪い箇所」を指摘するメルマガは、世界で勝負したいという人必読。
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