【書評】沖縄県知事がついた嘘。「基地撤退」の背後にチラつく中国の影

 

「我々沖縄県民は少数民族ではありません」

翌日、我那覇さんが反対スピーチを行った。

昨日、皆様は、沖縄は紛れもない日本の一部であるにも関わらず、「沖縄県民は日本政府及び米軍から抑圧される被差別少数民族である」とお聞きになられたと思います。それは全くの見当違いです。

 

私は、沖縄生まれの沖縄育ちですが、日本の一部として私達は世界最高水準の人権と質の高い教育、福祉、医療、生活を享受しています。人権問題全般もそうですが、日本とその地域への安全保障に対する脅威である中国が、選挙で選ばれた公人やその支援者に「自分達は先住少数民族である」と述べさせ沖縄の独立運動を煽動しているのです。

 

我々沖縄県民は少数民族ではありません。どうかプロパガンダ(政治宣伝)を信じないでください。

(同 p233)

翁長知事のスピーチは「沖繩の自己決定権がないがしろにされている」という一節から始まっている。この自己決定権とは、沖縄県民が日本人とは違う少数民族であり民族としての自己決定権が失われている、という前提に立った言葉だ。

沖縄生まれの沖縄育ちの我那覇さんが「我々沖縄県民は少数民族ではありません」と断言したのはインパクト十分だった。しかも、沖縄の独立運動の陰で、中国が扇動していることを明確に指摘したのである。

「中国が東シナ海と南シナ海でみせている深刻な挑戦行為」

我那覇さんは後半で、中国の脅威を指摘する。

石垣市議会議員の砥板芳行氏からのメッセージです。

 

「沖繩県の現知事は無責任にも日本とアジア太平洋地域の安全保障におけるアメリカ軍基地の役削を無視しています。翁長知事はこの状況を棯じ曲げて伝えています。中国が東シナ海と南シナ海でみせている深刻な挑戦行為を知事と国連の皆様が認識をすることが重要です」

 

ありがとうございます。

(同 p233)

中国が東シナ海と南シナ海でみせている深刻な挑戦行為」は、世界に知れ渡っている。その「深刻な挑戦行為」から日本とアジア太平洋地域の安全保障を護っているのが沖縄米軍基地なのだが、翁長スピーチは、この点に一言も触れずに、基地の「負担」だけを論じている。知事の「捻じ曲げ」は、誰の目にも明らかだろう。

この点は、基地反対派を論破するための核心である。我那覇さんは、著書でこう指摘している。

「真っ先に危ないのは、沖縄県です」と本当の事を県民に伝えなくてどうします。この場合、「沈黙は金ではなく鉛」なのです。それを「県民の皆さまスイマセン。更なる基地負担をご理解下さい」などと言うから何も知らされていない県民は反発するのです。反対派左翼のデタラメな主張を助けているようなものです。

(同 p84)

基地問題をややこしくしているのは、中国の脅威を語らずして負担軽減ばかり取り上げる、こうした逃げの態度だろう。それは真実を隠すことで、沖縄県民のみならず日本国民全体の「自己決定権」をないがしろにしている、という事である。

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