このように、日本の台湾統治はその覚悟からして違いました。私は拓殖大学の大学100年史の編纂に加わったことを機に、さまざまな史料にあたり、統計数字を計算してみましたが、19世紀末の台湾の学校(学堂)の学生数から計算して、台湾人の識字率は当時わずか0.6%しかなかったことがわかりました。また、1898年当時の朝鮮や清国にしても、就学率はいいところ2%程度しかありませんでした。
ところが1945年の台湾の就学率は70%を超えていました。しかも、それまでの「四書五経」だけの暗誦ではなく、台湾史上初めて国民教育と実業教育が行われたのは、日本時代に入ってからなのです。
そうしたことを知っているから、台湾人は日本への感謝や尊敬を持っています。それが世界一の親日国家の背景にあり、そうしたことが日本でも知られるにつれ、台湾へ行きたいと思う日本人が増えてきたのでしょう。
また、台湾人の日本好きは、なにも戦前を知る高齢者にかぎりません。むしろ若者たちのほうが親日であったりします。1990年代から台湾では「哈日族」(ハーリーズー)という日本大好きな若者たちの存在がクローズアップされてきました。第二外国語で日本語を選ぶ若者は90%台にも及びます。
戒厳令下、国民党政府は日本を称えることを禁じてきましたが、日本時代を知る人たちは、子どもや孫の世代に日本時代のことをこっそり伝えてきたのでしょう。そして言論の自由が認められると、一気に「日本好き」を公言するようになったのだと思います。そして親中派の馬英九政権から独立派である民進党の蔡英文政権に政権交代が行われたことで、台湾人の日本に対する親近感がさらに強まったと考えられます。
一方、日本時代を冷静に見ることができず、つねにルサンチマンを抱えている韓国人には、反日を克服することは容易ではありません。反日がないと韓国は存在できないのかもしれません。
もちろん台湾人の価値観も中国人とは天と地の差です。台湾では日本の軍人や警察官が神様として廟に祀られ、日本人観光客の観光スポットにもなっています。また、高雄市でも近年になって日本海軍兵士の記念堂ができています。台湾人と中国人の日本人観はそこまで違うのです。
日本と台湾はお互いに「訪れたい国1位」となり、相思相愛の状態です。しかも蔡英文政権になったことで、日台関係は今後もますます発展していくことでしょう。
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『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋
著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
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