先日、文科省は2020年度から実施される新学習指導要領を公表しましたが、それによると、これまでのような教師からの一方的な抗議ではなく、子供たちの自ら考える力を育てる「アクティブ・ラーニング」と呼ばれる学習方法を導入するとのこと。しかし、今回の学習指導要領の改訂について、現役小学校教諭の松尾英明さんは、自身のメルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』で、「現場とのズレが否めない」と苦言を呈しています。
詰め込み教育からの脱却?
最近の新聞記事からの雑感。学習指導要領改訂について。
「日本のこれまでの教育は詰め込み型だった」
「一方的な講義形式の授業からの脱却」
「アクティブ・ラーニングへの転換」
これらの言葉に、違和感を覚える人も多いのではないかと思う。
みなさんは、子どもに詰め込んでいるだろうか。授業中、子どもの声など聞かない、交流などさせないで、一方的に喋りまくっているだろうか。「言うことをきけばいい。考える必要なんてない」と言っているだろうか。
どちらかというと、そもそも聞かない、入らないというのが悩みである。現在の学習指導要領の内容を授業で扱う時、そこまでの大量の内容でもない(まあ、ちょっと内容が多いかなと思う学年もある)。ただ、そこまで切羽詰まった学習内容でもない。
ある程度詰め込む必要性が出るのは、例えば受験をするような場面である。仮に難関中学を受験をするとなれば、学習指導要領の内容をクリアしただけでは足らないだろう。求められる力が違う。一定の時間内に、能率良く答える必要が出る。それには、どうしても繰り返しの訓練が必要である。手順の省略化が必要である。ここは否定できない。
しかし、少なくとも現行の小学校での指導方法のスタンダードは、詰め込み型ではない。どちらかというと、自由にやらせすぎて、うまく力がつかないという悩みである。
どうしても、上からの通達は現場感覚とズレる。伝わり方の時差もあるが、それ以上に「問題点を問題」とするからである。問題なくやれているところには着目されない。クラスで、手のかかる子どもに目がいってしまうのと同じである。学級だと、きちんとやっている子どもを認めてあげないと反乱が起きるが、この場合は起きない。これは仕方がない。ただ、それが現在の学校の姿だと思われるのも困る。
情報は、あくまで「情の入った報せ」。このことに限らず、氾濫する情報を鵜呑みにせず、現物を見て自分で判断する必要があると感じた。
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